みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

アウトプットの力~「悪い本」「希望の牧場」

力を学校に送った後は、だいたい音楽をゆるく聴きながら帰宅するのだが、
先日、久しぶりにAMラジオをつけてた。
女性パーソナリティの進行で、イラストレイター吉田尚令氏の1時間ロングインタビュー。

吉田氏のことは全然知らなかったのだが、
最近話題になったらしい、2つの絵本について話が進んでいた。

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「悪い本」「希望の牧場」

全然違う趣旨の本のようだが、
イラストが同一人物だから、というのもあるが、
共通の、何か、がある。

それにしても、
吉田氏のぼくとつとした話し口は真摯で好感が持てた。
それぞれのエピソードがとてもおもしろく心に響いた。
車停めて、1時間全部聴いてしまった。

どちらも、進行していた女性が、一部朗読してくれたのだが、
「はじめまして わたしは 悪い本です」ではじまる、
「悪い本」、に、まずやられた。

「怪談絵本」シリーズの第一巻。
文は宮部みゆきなのだが、最初にこの原文をもらった時は、宮部みゆきだとは知らずに、
イラストをスケッチしたそうだ。

絵本なのですぐ読める。
さらっと読んでしまうかもだが、
きっと何度も本を開きたくなるはず。
大人のための絵本風だが、
出版社の趣旨通り、子どもが読んで、
なんかよくわからんが、なんだかなあ、と思えることがいいのではないかと思う。
こわいこわい闇のこと。

もうひとつ、「希望の牧場」は、
福島の避難対象エリアに本当に今もある牧場の話。有名らしいが、私は知らなかった。

森絵都作のこの絵本は、リアル牧場のリアルな現実の話。
放射線を浴びて売れない360頭の肉牛を育てつづける、牛飼いのおじさんの話。
お涙ちょうだいは皆無の、絵本の体裁をとっている本は、泣ける本だ。
売上金の一部が、牧場の運営金になるらしい。

このラジオを聴きながら、書店に行った。なんと売り切れやないか!
帰宅してネットで即買いした。
立ち読みもせずに買った本は、久しぶりだ。しかも新品で。
配達された絵本をみて、はじめて、吉田氏のイラストをみた。

想像していた雰囲気と違う、やわらかい画風ながら、
朗読で聴いていた文がぐわーんと拡がるイラストに感心した。
ただ文を読んだだけで、この絵を創造する。なんて仕事だろう。

「悪い本」は、クマと少女が出てくる。
文には、クマも少女も、何も出てきてないのに。
「希望の牧場」は、リアルな現場をただ画調を変えながら描いているだけなのに。

プロの、アウトプット能力は、すごいと感嘆した。
もちろん、文もいわずもがな。

好みはあるだろうが、おすすめだ。
書店で思いだしたら、見かけたら、手にとってみてください。


※吉田氏のブログにラジオで話してた内容が書いてあります。