みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

あいちゃんが亡くなった

療育期にクラスメートだったあいちゃんが亡くなった。

めちゃくちゃ人見知りのあいちゃんは、心許した保育士の先生たち以外の人間が、
だいたい2メートル位のテリトリーに侵入してくると、顔色がこわばり、さらには泣いてしまうような子だったので、
なかなか近くには寄れなかったが、
テリトリーに入らなければ、手を振ってくれたり、こちらを不思議そうな顔をして観察してたりする、
クラスのアイドルみたいな女の子。
いつも、ピンク!とかリボン!とか、かわいらしい髪形と、ファッションでやってきて、
何度もお着替えさせてもらっていた。
お下がり(しかもおねえたち女物)を着せられている着たきりな力とは雲泥の差な感じだったなあ。

いつものように、みんなでお別れのごあいさつの後に、泣かない距離を計って、
いつものように、ばいばい!した日の深夜、あいちゃんは呼吸不全で救急車で運ばれた。
そのまま約6年間。
入院して一度も目を覚まさぬまま、眠り姫のまま逝ってしまった。

力はその頃、2週間おきに入退院を繰り返し、何度か危ない橋を渡ることもあった時期。
間違いなくクラスで最も要観察だったのだ。出席率も最低。
あいちゃんは、自分のテリトリーさえ守られれば、一人で座っておもちゃ遊びができるくらいだった。
まさか、あいちゃんが、と、ショックだった。

誰でも、未来のことはわからない。予見できない。
自分や家族、周りの人たちの、生を享受できる、今、を、大事にしていかねばならないなあと、
改めて思う。
そしてできる限り、今、自分がやれることを精一杯やろうと思う。

あいちゃん、今まで本当にがんばった。
これからは心穏やかに、のんびり過ごしていけますように。そして皆を見守ってくれますように。

ありがとね、あいちゃん。ばいばい。