みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

出生前診断の文字をみると・・・

解禁された新診断。
新聞やテレビで「出生前診断」の文字や話が出るたびに、どんより~な気分になる。
 
ニュースをみるより、新聞を読む機会が多い。
各紙、新診断についての解説ものや、連載物が、ちょうど連休前くらいまで、いくつも展開されていたので、
それら全てではないが、目につけばピックアップして、webも含めいろいろ読んだ。
 
ある連載、担当の記者さん自身がもうすぐ出産する、という当事者目線なものがあった。
きっと初産さんなのだろう。不安そうだ。それは、そうだろう。
出生前診断については、もちろん、出産育児、にとどまらず、
福祉や倫理、その他もろもろ多面的な考え方がある。
いくつかの面から書いてあったが、全体通じて、あまり共感できない内容だった。とても残念な気がした。
 
出生前診断」この文字をみるたびに、
私がそんな状況だったらどうするだろう?と考えないわけにはいかない。
 
きっと、診断を受けてる。と思う。
そして、とても悩むだろう。答えが出るのか??
結局、出産を断念する可能性が高いのではないかと想像する。
 
力は染色体異常でうまれた。(現時点では?となっているが)
仮に、妊娠時に何らかの検査をして、判明したかどうかは、力に関してはかなり微妙だ。
私たちは三人目の子である力を迎えるまで、元気であることを疑いもしなかった。
一生懸命出産して、ほっと一息ついてた数時間後、救急搬送されてから、
力との、今まで想像したことも経験したことも無いような、ハードで過酷な毎日が始まった。
 
染色体異常を正常に戻す魔法の薬はない。一生変わることはない。
異常と言われる通り、いわゆる正常、健常、の人間とは違った道を歩むことになることがほとんどだ。
まさに、ハードで過酷。
うちは、長い入院から退院して自宅療養になった時期からしばらくは、
力が先か私が先(に命をなくす)か、とギリギリ状態だった。決して誇張ではない。
今だから笑い話にしている位で。
 
それから数年。
本当にありがたいことに、力は少しずつ元気になり、こちらの慣れもあり、大変だと思うことが少なくなってきた。
たくさんの方々に助けてもらって毎日を過ごせていること、
そして何より、力がいることで、うちの家族が、たくさん笑えて幸せな気分にしてもらっていることを実感する。
力が、いろんなことをつなぎ、わからせてくれている。
 
大変なのは間違いない。絶対に辛くてしんどい。決して美談でなくぼろぼろになって這ってここまできた。
でも、授かって一緒に過ごすことができている今までと今からは、とてもありがたく、かけがえのない日々。
 
出生前診断、確かに需要も、その意味もあるのだろうと思う。
が、劣を淘汰する、ということにつながるのなら、福祉の存在意味はなくなるのではないのか。
 
少なくとも、うちは、力がいて幸せだ。