みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

畳敷き温泉はバリアフリーか?/原鶴温泉

おねえNが中学生になったとたん、
夫や力の男性陣の都合調整よりもNの日程調整の方が難しくなった。
 
そのNが久しぶりに部活が日曜休みになり、夫もちょうど週末休暇だった週末、
力も好調キープしていたため、急きょ、近場の温泉旅行を計画し、家族で行くことになった。
少し前までは、家族で動くイベントは力次第、だったのだが、
今回は力の体調都合が行けるか否かの3番目になってる。本当にありがたいことである。
 
急づくりだったし、おねえたちのリクエストや好みもばらばらだし、
場所チョイスには今でもやはり、力の条件が最も優先順位が高い。
なかなかこれ、というところをヒットできなかったが、今回は、
 
1.温泉
2.食べ物がうまい
3.そこまで寒くないところ(海沿いとか、標高があまり高くないところ)
 
を満たすところとして、自宅と同じ県内にある温泉地に決めた。
今まで、近場すぎてわざわざ宿泊場としては選んでこなかったところだ。この機会で。
 
到着してチェックイン。スタッフの誘導や案内などが、ちょっと気にかかる部分があり、
少々下がり気味ながらお部屋へ。
 
イメージ 1子ども連れの家族と言うことで、家族湯を使わせてもらえることになっていた。
1時間貸切。
少し前までは、部屋の風呂ではなく、
大きな風呂(しかも温泉なら尚良し)を貸し切りにしてもらえると、
家族全部一気に終了するのでとても助かったのだが、
女子のおねえたちが成長してきた今、
おねえたちは今でも私と入りたがり、
私は力の入浴介助もせねばばらない。
もう一人の介助要員の夫はおねえたちは一緒に入れない。
家族全員一気入浴がもうかなわず、
せっかくの家族風呂、意外にめんどくさい部分が出てきた。
 
ということで、今回からはおねえたちグループと一緒に私も少しだけ入り、
女性陣と、力の入浴介助グループとを時間差にした。
 
湯は透明で入りやすかったが少々熱いかなと心配した。
心配よそに、力はとても気持ち良さそうに入っていた。温泉好き。
 
こちらの宿泊場のウリが、浴場(露天除く)の洗い場が全部防水畳製であること。
洗い場で転んでも痛くない。セーフティ。
また、こちら家族湯では、床も浴室入口も全部フラットでバリアフリー状態になっており、
おそらく車いすで入ったのではないかと思われる跡もあったので、
体が不自由な御家族がおられる場合は、利用しやすいだろう。
力も試しに、畳の上にごろんと横にしてみた。ちょっと楽しそうだった。
 
が、障害がある人や高齢の方々の家族で利用する際、便利とは言っても、
貸切1時間で入出終了、は結構タイトでもあると思う。
うちも、時間差入浴したこともあり、ばたばただった。汗だく。
 
入浴後の夕食は、内容が結構良く、おいしかった。
しかし。若い、おそらく、週末のバイトと思われる仲居さんがかなり残念で、
スタッフ教育ちゃんとやってほしいよなあと気になった。美味しいだけでは点数出せん。
 
食事後は私は力の食事介助、おねえたちは2人で、夫は一人ゆっくり露天大浴場へ。
皆が寝てしまって消灯後に私一人でゆっくり露天に入った。なかなかよかった。
 
ゆっくり入ってみると、洗い場の畳敷きは、柔らかく、確かに安全だなあと感じたが、
下世話ながら、これって、メンテナンスやランニングコストはどれくらいかかるんだろう、とか、
下地や強度はどうなってるんだろう、とか、余計なことが気にかかった。貧乏性ですね。
 
こちらの旅館で最も良かったのは、翌朝のバイキング。イメージ 2
もともとこの温泉では老舗で、食事は評判の宿。
朝の充実度は、今まで宿泊した宿の中でも5本の指に入るくらい。
和も洋も、たくさん食べて満足。朝からおいしいご飯があるのは幸せだ。
力はまだ朝起き抜けでぼんやりしていたが、機嫌はよし。
 
朝食後、おねえたちと風呂に入りに行き、チェックアウト後、無事帰宅。
力は、旅帰りでも疲れが見えず、強くなったもんだと感心した。
 
 
食事も湯も良かったが、総じて、ホスピタリイがもう一声だった。
館内は近年、客室を増やし、洋間を取り入れたりしたのは、
きっと高齢のお客さん層を見込んでのことだとは思うが、
建て増しで生じる高低差、段差の解消が、どうしても、とってつけた感が大きく、
通路の幅やスロープの急さ、連絡通路の温度調整など、
気になる点が多く、残念な気分にさせられたのが、正直なところ。
 
このような施設は、ハード面のバリアフリー整備はもちろん大事だと思うが、
個人的にはハード面を整備すれば終了、という考え方なら、
かえって整備しない方がいいのでは、と思うことが多い。
整ってないところがあれば逆に、人が介せねばならず、そこにスタッフさんたちの意識がいくはずだ。
 
ということで、こちらの宿にまた行くかと言われると、もう行かないかもしれないが、
畳敷きの温泉については、障害がある人、高齢の方々にとって、選択肢としてはアリかな、と思う。
料理長さんの腕もよろし。
 
 
原鶴温泉パーレンス小野屋
/福岡県朝倉市杷木
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