みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

ホスピタリティとは~唐津の一軒宿・佐里温泉

夏休みがなかった夫。
9月に休暇はもらったが、急だったので恒例の旅行なし。
宿泊なしのランチ温泉日帰り企画では、おねえたち納得いかなかったようで(ぜいたく!!!)、
11月頭の週末に、温泉旅行を企画した。
といっても、夫の仕事は、いつ休暇がつぶれるか、直前まで、というかリアルタイムでも、不明なため、
おねえたちには前日の夜に、条件付きで、実は、と打ち明けた。
うちは力の体調でも大きく左右される。
遊びに行く前の、
指折り数えて楽しみに待つ気持ちを味あわせられないことはかわいそうだなあとも思うが、
行くつもりで行けない方がもっとつらい。
彼女らも毎度のことなので、すっかり慣れてしまっているようだが。
 
さて、急ごしらえな休暇、行く先探しに一苦労だったが、
比較的近場、IC近くなどのアクセス良好、温泉、飯うまそう、山か海などの自然寄り、
という、条件を満たして、懐と相談しながら、空いていた宿に出かけることになった。
 
佐賀県唐津市・「佐里温泉」
 
当日、天気予報は雨。かなりどしゃぶりらしい。
しょうがないねえ、まあ、温泉でのんびりするだけだからいいか、と、思っていたが、
やっぱり朝は雨降りで、ややテンション下がり気味。
なのに、うそのように、出かける時間帯は曇り空に持ち直した。
おねえたちは土曜参観があり、半ドンで帰宅してきて、昼食食べて出発。
力は、前日、チューブを入れ直してもらい、吸引もかなり減って、なかなか機嫌も悪くない。
 
前日夜に、おねえRが話すには、イメージ 1
雨降る中、車を運転してたら事故にあい、
お母さんが頭から血を流して救急車で運ばれて、
しばらくして亡くなった、
てな、めっちゃ怖い夢をみたっちゃんと、青い顔で話してくれたので、まじリアルな状況夢に、これは慎重に行かねば、と、運転。
 
雨も降らず、力もなかなかご機嫌、行程は問題なく、無事到着。
よかった夢で済んで。
 
佐里温泉は、
佐賀唐津市の中心部を外れて南方の川沿いの一軒宿である。
本日満室らしい。
秋はコスモスが見ごろなのだが、2週間ほど遅かった。
すっかり枯れて、無残な様子。残念。
 
イメージ 2
 
事前に力のことを知らせておいたので、
1階の広い部屋を用意してくれる、
と連絡があっていた。
バギーのまま入ることができて、案内されると、
これがめちゃくちゃ広い部屋。
二間全24畳広縁付き。
これはいくらなんでも広すぎでしょう。
 
広すぎるが、
狭い部屋に比べれば広いに越したことはない。
窓からは中庭が見えて、
もう亡くなった私のじいちゃんばあちゃんのうちを、
思い出した。
 
イメージ 3温泉は男女合わせて6つ。早々に入りに行こうと思いきや、
タイミングがいいのか悪いのか、
ちょうどご当地球団、ホークスのシリーズ優勝がかかる試合が放映されており、
つい見始めると、家族みんな、なかなか席を立てず。
これじゃ、うちで過ごすのとおんなじじゃん!
 
ということで、途中で見るのをやめて温泉へ。
今回初めて、夫が力を一人で温泉にいれた。これはひとつ、進歩であった。
(ちなみに、テレビ消して温泉に入りに行ってしばらくして優勝が決まり、しかも勝利した模様。とうとう勝った!)
 
温泉泉質は大変よかった。
内風呂→露天→日替わりの湯と、はだかで歩いて移動する。
特に露天から日替わり湯までの道のりが、結構な距離ある。
はだかで歩いて移動するので「肌香の道」などと銘打ってあったが、これ、苦手な人もいるかもしれないな~
 
女性メインで入れる花の湯は、なぜか、イメージ 4
マジックミラーでつくったピラミッドのなかにある。
湯船の回りに、たくさんの花々。
お姫様気分に、少しはなるかも。
薄暗い夜の方が、素敵な湯だった。
 
朝だけ、男湯露天の備長炭の湯に入ったが、
こちらは、人が入らねば対流がなく、
上が熱く下がぬるい湯。
娘たちには熱かったが、気持ちはよかった。
 
食事は、併設レストランにて。
伊勢海老などいい素材を使いながら、
濃いめの似たような味付けのものがたくさんで、
非常におしい。
前菜で出てきていたあけびを、初めて食べた。
夕食時、力は何となく活気がなく、疲れたのかと心配したが、部屋に戻ると元気になった。なんで?
 
力は案の定、夜寝そうにない感じになっていたが、疲れが勝って早めに寝てくれた。よかったよかった。
 
おねえたちを寝かせた後、
力は寝てなかったが、夫に任せ、私だけ、宿内にある抗酸化浴に行ってきた。
岩盤浴の一種だろうが、ぬくぬく状態のコンクリート敷きに横になるだけ。
汗をかくほどもなく、低温やけどするほどもなく、快適な温度ではあるが、いかんせん堅すぎる。おしい。
 
朝は、新米土鍋炊き立てと、塩干魚を目の前の炭火で焼きながら食べる。
シンプルだが、これこそ御馳走だ。おいしかった。
宿一押しらしい、お茶漬け具材をたくさん目の前に置いてあったが、
出汁でなく、日本茶をかけるので、具材の入れ方で味のバランスをとるのが難しく、こちらももう一声。
 
イメージ 5朝食後に、
併設パン工房でコーヒーサービスを受けた。
天然酵母パンを作って売っており、
試食もさせてもらったが、これが、大変おいしい!印象的だった。
残念ながら土砂降り中で、部屋で食したが、
お土産に買っていこうかどうか迷った。
(が買わずに帰宅。大きくてやや金額高め。)
 
朝食後も風呂に入り、のんびりチェックアウト。
力も大方元気に過ごせて、
無事に帰宅できて、やれやれだった。
 
 
温泉も良く、パンも美味しかった。部屋も広々で、ありがたかった。
しかし、何となく、満足感はやや欠。
これは何で?
 
夫とは、スタッフさんの接客姿勢ではないかと話したのだ。
皆さん、愛想悪いわけでもなく、悪い方々でもないと思うが、
「いらっしゃいませ!」という心意気は感じにくかった。
 
せっかくのいい持ちモノを本当に生かすのが、ホスピタリィである。
いいのにねえ、もったいないねえ、と皆で話しつつ帰路。
出発の朝は早朝から土砂降りだったのに、
帰路に着くころにはまた曇り空に持ち直しており、もしや力の思し召し?かも、と。
 
力は、帰宅して自宅にごろりんしたとたんに、いつもの機嫌がいい力に戻った。
車移動がしんどかったのだろうが、もしかすると、力も、宿が今一つ気に入らんかったんかも。
 
点数辛い私たちであるが、そうはいっても、大方のんびりで、温泉三昧で、よかった。
残念なのは、力がたった一回しか風呂に入れなかったこと。
さすがに、男湯女湯わかれている大浴場系だと、
介助がない状況で、力を入れるのは、なかなか難しい部分がある。
夫が一人で風呂入れしたのはまあよかったのだが、
私は心配で、男湯の前でずっと待っていたのだった。のぞき不審者だと思われてはいないか。。。
 
ということで、今回は予約取れなかったが、もし次回があるなら、露天付の部屋を狙いたい。
 
施設内はバギー移動にはほとんど障害がなく、
(レストラン入口のみ、20センチ弱の高い段差があった)
翌日、車いすのおじいちゃんおばあちゃんのグループが大勢日帰りで来ていたのをみると、
バリアフリーには、まあまあ納得したところもあった。 
 
モノはいい。磨けばさらに。