みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

「絶対安全」は絶対ない:Tチューブ抜去事件

昨夜のことだ。
クッキングできてよかったよかった、な日だったのに、夜にとんでもないことが起こり、
ショックのあまり、昨日の時点では記事更新できず。
楽しいクッキングの件だけ先に更新して、「事件」のことは、本日まとめて。
 
標題のように、
昨夜、夕食前の時間帯に、力の気管切開部分に挿入しているTチューブが抜けてしまった。
 
私は揚げ物など、台所でばたばたしていたので、力のことは台所から顔色のぞく位しか近寄っていない。
分泌物は、少なくなったとはいえ、まだ少しはずるずる言っていたので、
料理の手が空いた時点で、
ちょっと、もー、いい加減に鼻水やめたら~?
なんて言いながら、力に近づいて、吸引のためにのど元にある手を払ったら、(それも決して勢いよくではない)
ポロっと、Tチューブが頭上に転がった。
 
え?えええ?これってTチューブじゃん、えええ、ていうか、穴あいとうしいいいーーーー。
 
力の喉には、直径約8ミリ程度の穴が、ぽっかり。いつから外れてたのだ?
 
「あああ!取れとう!チューブがああ。」
とあわてる母の声に、それぞれ自分のことをしていたおねえたちがやってきて息をのんだ。
 
びびる私たち女性陣をよそに、力はご機嫌で、体左右にゴロゴロしている。呼吸全く問題なく。
 
おねえたちは、力の喉穴を凝視ししつつ立ちすくみ。
私も真っ白になりかけたが、いかん、カニューレカニューレは!!と、ばたばた持ってきて、
固定紐を装着して、おねえたちに力をおさえてもらって、
無事、緊急カニューレを挿入。
 
挿入時にげほげほ、と咳き込んだが、一瞬だけだった。
Tチューブで慣れている気道は、久しぶりにカニューレが入ってきて、やや異物ストレスがあった模様で、
それから数時間は、少し痰が増えた。が、呼吸が問題ないし、機嫌も良すぎるほどだ。
機嫌よすぎて、カニューレをはずさんばかりの暴れよう。
 
イメージ 1
ほらー、久しぶりにカニューレが入ってまーす!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 2
ぼく、こんなこともできるよ!
1,2の・・・・
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 3
3!
はい!一瞬で人工鼻がはずせます~
簡単にできるよ!
すごいやろ、ぼく!
 
 
 
 
 
久しぶりに装着している人工鼻は、このとおり、何度も何度もはずすし、
みていると、明らかに手がのど元にてもぞもぞ動き、気管孔を狙っている。
ここ数カ月、訪問看護師さんやヘルパーさんから、
ちーくん、チューブが危ない手の動きしてますよね、との報告を受けていたのだが、
いやいや、チューブは、大人がしっかりつまんで、一気に引っ張らなきゃ抜けないので、
危なそうだけど大丈夫だと思います、
と私は自信を持って話ていたのだ。全くもって無根拠無責任発言である。
 
この分じゃ、とっかかりがチューブよりもたくさんある緊急カニューレもまたはずされてしまう。。。
今夜はずっとついてなきゃならんな、と思いきや、
早寝モードでささっと熟睡してしまった。呼吸全く安定。暴れず静かにいい子に就寝した。
 
翌朝の今朝、大学病院に電話で相談すると、午後に対応してくれるとのことで、早速行ってきた。
園は急きょお休み。
 
看護師さんや、医師には、取っちゃったんだ~、と笑われたが、
チューブが外れて、カニューレを挿入するまでのおそらく数分間、
全く呼吸も乱れず、気道も気管孔も狭窄せずに大丈夫だったことは、
気道の安定性を確かめられたとも言えるので、よかったよかった、とのことだった。
実際、ファイバースコープで気道内や声帯近辺のチェックをしてもらったが、全く問題なくきれいだった。
取れたチューブを再度挿入してもらって、元通り。
 
受診時から、なぜかかなり機嫌が良かったのだが、帰宅しても、ぐったりの母をしり目に元気いっぱい。
一晩、声が出ない状態だったのを取り戻すかのように、わあわあと騒いでいた。
イメージ 4
 
 
原発事件のことが、頭によぎったのだった。
次元が全く違って申し訳ないのだが、
リスクはあるけど、多分、おおかた、大丈夫、というのが、だんだん慣れて、絶対安全、に近くなる感覚。
事故なんて起こらんやろ、まあ起こっても大したことないやろ、という、何の根拠もない感覚には、
大きなしっぺ返しがくるかもしれない。
 
気管切開生活になって、病院で一度だけカニューレ抜去事件があったが、
それはまだ術後すぐの不慣れな時期の、しかも病院でのこと。自分もまだ処置に手を出していない時期だ。
それ以外で、抜けたことは一度たりともなかったのだ。この6年間一度も。
カニューレよりも抜けにくいと言われていたTチューブが抜けてしまったことは、
いろいろな慣れへのプチ警告だと、思った。
 
抜けないかな、大丈夫かな、とがっちり紐を締めていたカニューレの時期は、
気管切開部分をあつかうごとに、額に汗して処置していた。
同じように、いつでもガチでいることはないとは思うが、メリハリ持ち、しっかり意識を保っていかねばと思う。
 
力のやつ、うまいこと、誘導してくれているもんだ。いつもいつも。その流れに逆らわず乗ってまいりましょう。