みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

発熱,抜糸,誤投薬,嚥下検査

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

[発熱と抜糸]
一昨日夜の微熱は一時下がったが、深夜起きてうんちし、次に三時に起きて朝六時過ぎまで延々と吸引、鼻水ぶくぶく。口を金魚みたいにパクパクしていた。朝方ゆっくり電解水を注入してようやく寝た。熱っぽい。
週末退院の話が出ていたのになあ、と頭痛がんがんの中ぼんやり考えながらちょい寝した。
朝バイタルチェック時には少し熱は下がっていたが、念のため採血。午前のうちにまた熱が上がり、ぐったり寝てしまった。

その日の昼頃予定されてた嚥下検査は、これじゃ無理だろう、と思っていたが、検査呼び出しされたので、熱があってもやるのか?と問合せると、結局キャンセルとなった。ちょっとしたことだが、こちらの状況わかってくれてるのか?とスタッフ間連携の不安を感じてしまう場面。

力は午後もぐったり眠り続け、いろいろの検査結果と、院外に外来出張していた担当医の戻りを待ち、対応に動き始めたのが午後遅くなってから。

「やはり肺炎のようです。小児科医師にきてもらうよう依頼してます。抜糸はやります。」と担当医。

肺炎?誤嚥で?また繰り返しか、いつ帰れるんだ?とショック抱えながら処置室へ。

抜糸では号泣したが、傷はとてもきれいになっている。一番悪い時は見るのも辛いような傷だったから本当によかった。また、もう一つの大きな懸念だった首周りのじょく創も、Tチューブになったことで首はフリー。すっきりしていい感じ。

処置終わったところで小児科医がきた。

「肺炎じゃなさそう。」
という。
検査結果から、脱水からの熱だろう、との所見だった。

注入量はほとんど平常に戻っていた週明けからも念のため、一日200mlだが点滴を継続していたが、点滴中止した日の夜から発熱した。たったコップ一杯分の水分が体調を分けたという微妙なバランス。力の注入量調整に苦労している身としては、小児科医の見解に大いに納得した。なるほど。肺炎でないこともホッとした。

すぐに抗生剤投与せず、水分供給して様子みることになった。
現時点ではすっかり熱が下がりきったとは言えないが、機嫌も顔色もよくなってきたので、なんとかなりそうだ。

[誤投薬]
怖い話である。
遡り、一昨夜、発熱後、一旦熱下がり力が短時間眠っていた夜分23時近くになって、ノック音。廊下はもちろん部屋もほとんど消灯しているなか、病棟担当医が入ってきた。

「投薬量の誤りが判明した。申し訳ありません。」という。

その日の日勤の看護師さんが、追加処方された薬を持ってきてくれた際、一種類の薬の量が違うのだが、と、指摘してくれていた。

数年前から常時服用しているその薬は、確かに、薬手帳の記載量と入院後の処方量は異なっていた。
入院が予定外に長くなったので、何度かここで処方されている常備薬だが、確認すると最初から違ってる。倍量になっていた。

手術後力の内服は九種に増えている。その中で抗てんかん薬については特に量が重要なので、入院後、かかりつけ病院と採用薬の違いから粉末から液体に変更になったこともあり、毎回処方される度に確認していたが、他は処方されるまま投与していた。
最新の投薬データを術前検査の際に渡し、入院前には既にデータ化されてカルテに存在し、それをもとに処方されているはずなのに。
薄暗い夜中の病室で一通り謝罪したあと、間違いはしたが、しらべると、量は許容範囲で問題ない、という。だから大丈夫だ、と。

力が調子崩していることで頭いっぱいな上、夜中だ。そこでいろいろと言う状況でない、と、とりあえずその場はおさえた。

翌朝、発熱したこと、薬間違いの件も含め夫に伝えた。力は不調、私も寝不足の上こんな信じられないエピソードはもう勘弁してほしい、という私の話を聞いた夫、すぐに俺が電話する!といい、本当にすぐに電話したらしく、しばらくして、教授回診時にしか来たことない病棟看護師長が病室に謝罪にやってきた。

看護師さんは寧ろ気付いてくれた方なのだが、医師の誤りがないかをチェックする仕組みを今一度確認するよう、要望した。

夕方、担当医の上役の執刀医が謝罪にきた。担当医の間違いはもちろんだが、危険な量ではなかったとの、申し開きにも聞こえる言葉にこそ問題がある、と、厳重注意した、と平誤りであった。
まさにその通りで、量は問題ない、との言葉がすぐに出てくる意識の問題である。

大きな大学病院だから、薬剤部でのチェックが厳重らしく、危険量の処方はまずない、との説明だったが、そうであっても、患者に誤投与は絶対に回避せねばならんはずだ。

人には必ずエラーがある。エラーすることから目を背けず、忙しいから、に逃げず、フェールセーフを二重にも三重にもかけてほしい。リスクマネジメントだ。

医療の過ちは、患者や家族はもちろん、誤った側も、絶対に幸せにならない。

今回は事故にならなくて本当によかった。これを契機に、様々見直してくれることを強く強く望む。
それにしても、薬の量までチェックせねばならんのか、そこまて不信感を持たせられなきゃいかんのか、こちら患者の身になってほしい。入院付き添いだけでも相当なストレスなのにだ。
信じられないことを経てしまった、との感。

[嚥下検査]
昨日持ち越しになっていた検査を今日午後に繰越し。
力は熱が下がりきってはないが、機嫌悪くはないので、呼び出しに応じ、階下の検査室に出かけた。

力は、今回の一回目の手術で除去した肉芽が実は、誤嚥を防ぐ蓋のような役割を果たしていたことが判明し、今まで明らかな誤嚥がなく、肺炎にもならずにきた。
しかし、除去したことで、障害物がなくなった気管内には、やはり、唾液の流れ込みが見られ、嚥下機能があるレベルまでなければ、肺炎を頻発するため、呼吸に関しての新たな道を探らねばならなくなると言われていた。医師たちは、かなり悲観的な予想をしているのでは、と感じられた。今日は評価をするための一回目の検査。

だっこして、力の口の中に、造影剤を注射器で入れ、どれだけ飲み込めているかを、透視で確認する、というものだ。

数ヶ月ぶりに口にものを入れられた力。可哀想なほどむせかえり、咳き込んで、数回目には、口をすぼめたり、口からピューっとふきだしたりして反抗していたが、なんとか終了。
夜になって、執刀医と担当医が動画とともに説明してくれた。

結論からは、予想以上に飲み込めている。とのことで安心したし、嬉しかった。
レベルに達しないなら、気管切開を閉じる道がなくなってしまう、と、その覚悟を持って臨んだので、ホッとしたのが正直な気持ち。

ぼちぼち負荷をかけて、口鼻からの呼吸ができるよう訓練し、咳やたんを自力で出せるようになれば、通常の呼吸状態になる道が開ける。ただ、道のりは平坦でなく、長いことを肝に命じて、とのことだった。

手術した甲斐があったと思えるよう、根気強く頑張っていこう!といういい方向である。本当にありがたいこと。

終わりよければ全てよし、になればいいな。