夏休み最後のイベントとして参加したピアノコンクールの予選をクリアし、
おねえたちは、先月、本選に出場した。
夏休みと打って変わって、二学期の学校行事満載の日常の中で、平時の練習を試されるこの秋の本選だ。
彼女ら、すっかり夏で燃え尽きたかのように、ずいぶん腰が重かった。
なかなか動きが鈍いので、ある日、とうとう母の超説教部屋となった。
「せっかく素敵な会場(当地では最高の音楽会場が予定されていた)で演奏できる機会をもらったのに、
キミらはそれでいいわけ?
この間、お父さんが帰ってきた時に、お父さんに弾いてあげたろ?
そのあと、お父さん、キミらが寝た後、お母さんに、何て言ったと思う?
『あいつら、ホントに(コンクール)出る気あると?』
お父さんにそう言われとったと思うと、くやしくない?
お母さんは構わん。やった分だけかえってくるし、やらずにいれば、自分が恥ずかしいだけよ。」
夫は昔、小学校までだが、鍵盤楽器を相当に練習させられ、ハードなコンクールにも出させられ、
泣きながら練習した口だ。
いつもの母の説教は聞き慣れているのだろうが、
お父さんが、よもやそんなことを言うとは、と、おねえたち、ちょっとショックだったらしい。
夫も、私に言ったことを、まさか本人たちに言われるとは思ってなかっただろうが、
これは意外に効果的だった。
それから、上のおねえNがようやく重い腰を上げ、どうにか、のってきた。
だが、相変わらずマイペースな下のおねえRは、やっぱり相変わらず。
明らかに間に合いそうになくなり、R、とうとう「私、出らんもん。もうやめるもん。」と言い始めた。
最初はなだめたりすかしたりしていたが、とうとう、母もぶち切れ。
「もう~わかった。R!あんたは、もう一切練習せんでいい!
でも、レッスンにも行ってもらうし、コンクールにも必ず出てもらう!
レッスンで先生に怒られても、コンクールで恥をかいても、それは、もうRの責任やけんね。
今日限りで、ピアノには指一本触ったらいかん、それを約束しなさい!!」
そういうと、顔色を変えた。
コンクールの2週間ほど前のことである。
なんとかそれから形になり、出場にことなきを得た。
結果は、二人とも、どうにか、次の大会にコマを進めたのである。
だが、Rは今回もトロフィーはもらえなかった。悔しかったらしい。(ちなみにNはまたもらえた。)
Rは帰途、先生にこんなメールをしていた。
「またトロフィーをもらえなかったのでくやしかったです。つぎのたいかいではがんばります。」
終わって母もほっとした。
はああ、全く、口出し過ぎとも言えるよなあ、自分だって偉そうなことは言えんのにね。
褒めたり、叱ったり、このバランスをうまく取れるのが、いい大人なのだろう。
そして、ぐっと待って、見守ること。何事にも。
わかっちゃいるけど、わかっちゃいるけど~。まだまだまだである。。。
そして、次の大会の曲が決まった。次回は3月なので、
ぼちぼち練習開始である。ほとんど一年がかりになってしまった。
母も基本は、好きならやればいい、というスタンスなのだ。
でも、やると決めたら、精一杯取り組んでほしいのも、親たる者の心である。
Nには、ぼちぼち、しんどくない程度に、がんばれ、と声をかけている。
Nは既に、ピアノはじめて3年超。
最初こそは今一つだったが、ようやくピアノも楽しくなってきて、
コンクールも結構楽しめているらしい。
「うん、がんばる!」
と明るく答えて、練習も時間がある時にぼちぼちやっている。
Rには、まだ次まで時間あるけんね、ゆっくりでいいし、と声をかけた。
すると、
「R、もう出らん。だって、練習するのがきついもん。」
あああああ、また始まったああ。また繰り返しやんけーーーー。
さあさあ、次はどうする、母~!!
【音楽とは、音を楽しむ、と書く】