みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

コピペ

先月の耳鼻科の受診で、先般からの悩みの種である気管内の肉芽については、
手術をした方がいいが、別の病院でより専門的に症例を持つ医師にやってもらう方がいいだろう、
ということになり、来月初診の予定だ。

力は現在、毎月一度、定期的に、4科を受診している。
このいつもの4科の中で、唯一、生後すぐから診てもらっているのが耳鼻科医だけだ。
残りの科の医師は全員異動し、当初の力のシビアな状況を知るのは耳鼻科医のみということになる

ここで耳鼻科も別病院で受診となると、力にとっての当初スタッフが全員入れ替わることになる。
別病院での手術と入院も不安だし、正直慣れたところでないのは面倒だなあと思う気持ちもあったが、
「全員入替」という事実に、何とも心もとなく感じていた。

ただ、耳鼻科医は以降も継続して診てくれることになっているし、
元締めの主治医は、当初の主治医の上司で、早い段階からずっと診てくれていると言える。
心配するには及ばないのだ。こんなことを考えること自体ぜいたくな悩みだとも言えるだろう。


でも、その中で、ちょっとそりゃねーだろ、と思うことがあった。

9月の後半に普通に受診して、翌月10月後半に、定期受診した。
外科受診の際、診察室に入ると、見知らぬ医師がいる。
「??」
部屋間違ったか?と思ったら、
「○×先生(外科の担当医)は異動されたので、今日は私が臨時で代わりに診察します」
とのこと。

聞くと、外科担当医、先月末で退職し開業したらしい。
その医師、今年度から担当となったので、6回しか顔を合わせていないことになる。
で、9月後半に受診したのに、そのたった2週間弱後には退職していたという事実。

勤務医が開業する、というのは、いろいろと難しい事情があるのかもしれない。
患者に知らせてはならない、というルールがあるのかもしれない。
でも、こそっとでも、教えてくれてもいいのではないか、と思った。
だって、こちら患者サイドだって、新しい担当医が来るたびに、
この医師とどううまくコミュニケーションとるべきか、頭を巡らしているのだから。

臨時医師は、助っ人とのことで、次月からは「本当の」担当医が来る、とのことだった。
力の調子も悪いところはないし、まあ、しょうがねえなあ、と、ルーティン診察をしてもらい、
もやもやしながら帰宅。

で、翌月の受診、つまり先日のこと。
診察前に、看護師さんに、
「今日、新しい先生ですよね。お名前は何とおっしゃる方ですか?」
と尋ねると、
「自分からは言えない」、と言う。
いろいろあるのだろうか、と思いつつ?。さらに、
「でも、今日はその先生は出張で不在で、別の先生に診ていただくことになっています。」
とのこと。

このやりとりについて、???なんでええ?と思うのは、私の感覚がヘンなのだろうか?

結局、診てもらったのは、たまたま、力の最初の状態を知っている、異動から戻ってきた医師だった。
結果オーライでもあったが、この二ヶ月連続の外科受診体制には、?マークだらけであった。

もともと、外科系は異動が多い職種らしい。1,2年はザラ、だという。
これは、手術が多い外科だからではないかと、つい深読みしてしまう。
外科だけで今度で4人目だ。計算すると約1年で一交代、というところ。勤務医の宿命とはいえ。


愚痴で話それたが、本題。最近の不安感のこと。
コピペである。

コピペ、コピーアンドペースト。同一部分や類似部分をコピーし、別の場所にそのまま貼りつけること。

現在お世話になっている病院ではちょうど約2年前から本格的に電子カルテになり、
ようやく、大体の職種の方々の利用環境がトラブルなく整ってきたのではないかと、
外野からみて思う。

電子カルテシステムは、情報の集約、管理や共有が飛躍的に効率的、というメリットがある。
この病院では比較的遅い導入だったので、早くすればいいのに、などと思ってもいた。

しかし、電子カルテ、医療現場で使われるシステムとして一歩間違えば、かなり危ない。
その最たる操作が、「コピペ」。

ありがたいことに、力はずいぶん症状が落ち着いてきて、
毎月の定期受診も、ほとんどルーティンに近くなってきた。
処方される薬剤等も、ほとんど変わらずだ。

だから、医師がカルテを作る際に、特に処方の点ではほとんどコピペの作業だ。

作成しているカルテを、私も確認することができるので、作業は逐一チェックしているが、
実際、迅速な診察は助かるのだが、だからといって、これに胡坐をかいていてはいかんなと思わされる。

以前、力を授かったかも、という妊娠初期段階で、ある産婦人科で診察してもらった。
その際の老医師は、パソコンが苦手なのか、はたまた、まだ電子化に慣れていなかったのか、
カルテを作ることに一生懸命で、私の顔をほとんどみなかった。
診断はしてくれたが、今も忘れられない暴言を受けた。彼にとっては何気ない言葉だったのだろうが。

二度と来るか、と、患者相談窓口にその旨伝えて、それから二度と行ってないが、
その時のことを、この頃の妙なイレギュラーな外科受診で、思い出した。

カルテを作ることが主の診察。
電子カルテシステムは、そんな危険をはらんでいると思う。

現時点では、ルーティンな定期受診でも、ちゃんと力のことをみて、診察してもらっていると思う。
でも、特に担当の医師がどんどん代わる科や、例えば、激務で疲弊しているスタッフたちは、
担当交代の引き継ぎも、診察も、コピペ率が高いのかもしれない、と、不安を感じた。


つまり、振り返ってみると、自分たちの生活も、だ。

何となくコピペ、多用していませんか?