先週の夜なべ気絶モードの主たる理由は「沈まぬ太陽」。
力を授かる前、おじ夫婦のうちに遊びに行った際、借りてきた文庫本全五巻。
いつか、と思いつつ、このボリュームについ先延ばしになり、そのうち転居して、
気がつくと、最初の一巻目がどこにいったかわからない。
探さねばと思っていたところに、力を授かり、その後はずーっと突っ走り続ける毎日となりそのまま。
先月、この「沈まぬ太陽」が映画化、封切り間近、というニュースを目にして、あ。。。と思いだした。
探すが、やはりない。1巻だけないとは、摩訶不思議だが、観念しておじ夫婦に連絡を入れ、
新たに購入して返します、と伝えて謝った。
折しも、おじ夫婦、映画化を前に、原作本はいずこ?さては紛失したか?と、探していたそうだ。
全く数年来借りっぱなしで音沙汰もなく、さらに紛失までして申し訳ないことをしてしまった。
返却前に急いで読みます!と、宣言したこともあり、フル稼働で読み始めた。
読書は力の入院中で、と決めているし、実際、家ではほとんど読書時間など取れない。
急がんでいいよ、と言ってくれたが、今度こそ約束破りはいかん。
細切れでも読み、気絶しつつ夜中に読んだ。
文庫全五巻、全2300ページ超。かなりのボリュームだが発刊後ベストセラーになり、
賛否両論のすごい騒ぎになった原作。私はてっきり、御巣鷹山事故の話だと思っていたが、
読み始めると、日本のあり方をテーマにした、壮大な内容。
山崎豊子著作の「大地の子」「不毛地帯」等と同じく、不屈の男が主人公だ。
映画化に当たっては全てフィクションとしたらしいが、
原作は、「事実を小説的に構築」としている。微妙な表現は、つまり、著者の意図だ。
実際、3巻の御巣鷹山篇は、実名がたくさん出てくる。
偏向取材だといわれて批判されているようだが、読者の方からすれば、それはそれ、これはこれ、
と、読んでイメージをふくらませることは、自由であろう。
映画は、中途休憩が入る3時間以上の超大作になっているが、
これから観に行こうかと思っている方は、ぜひ1巻から順に時系列の原作を読んでから、をお勧めする。
1,2巻がなんでアフリカ篇なの?と思っていたが、なるほど、である。
格差、勝ち組負け組等々、社会状況がさらに抜き差しならなくなっている昨今。
数年前の列車大事故にも繋がる「沈まぬ太陽」は、より現実味を帯びた問題提議の書だと言えると思う。
日本で組織の中で社会人している大人は、いつか一度は手に取ってほしい作品だ。