みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

うつぶせ!

このごろ、タイトルに「!」が多いのだが、今日はまさに、!であった。

梅雨時不調なのか、抗けいれん剤増量の影響なのか、なんだか今ひとつ体調が不安定である。
ぼえーっとしたりであるが、夜普通に眠りはしている。
だが、週末、ちょこっとのびくつきを気づいてしまったので、心配していたら、
土曜の夕方、おねえたちも近くにいる時に、久しぶりにけいれん発作があった。
今回は呼吸不全というよりも、目が片方に寄ったまま意識ない状態。初めて、いかにも、な発作状態だ。

おねえたちと三人で名前を呼んだり、身体ゆすったり、心臓マッサージしたり、
いろいろやって、ふと焦点があったかと思ったら、おえっと、言って、覚醒した。
その後、ちょっと泣いて、またいつも通り。

顔色がそこまで悪化しなかったので、少し落ち着いていられた。
娘たちも、しっかり対応してくれて、なかなか頼りになるな、と思った。

そのまま下り坂になることはないが、嘔吐が何度かあったりで、やはり体調万全ではないと思われる。
6月、要注意である。どうにか乗り切ってくれればいいが。

こんなエピソードがあるが、起きて機嫌がいいと活発に動き回り、
いつのまにか妙なところまで転がってきて、
こらー、ちーくん、だめよう~、とおねえ達に何度も元の位置に戻されていた。


日曜の昼、私が所用で電話をかけていた時のことだ。
問い合わせ電話で、少々お待ち下さい、と言われて待っていた。
見ていると、力、ごろごろ、じわじわと、左側を下に裏返しになった。
いつものように、おへそから下はすっかりうつ伏せ状態だが、
いつものように、左手がつかえて、顔は横向き。
ここからが、問題だ。カニューレの高さが高すぎることが大きな障害になる。
元気な赤ちゃんならごろんと裏返り、いつのまにかうつ伏せ状態になり、
その後、うつ伏せに何度もなりながら背筋力をつけ、手を踏ん張って頭を上げる力をつけ、
その後にはいはいに移行する、という流れ。

力は高いカニューレの壁があるため、自然と腕力や背筋力をつける前に、
顔を持ちあげるため手をついて支える、という一段階高い難題に挑まねばならない。

そりゃー難しいだろうなあと思いつつ、リハビリの先生が根気よくそのイメージをつけるべく、
訓練を続けてくれていたおかげで、
以前なら、偶然ごろんと裏返っても、両腕とも下にさがり、
芋虫状態でどうにもならない体勢だったのが、今では、両腕とも、真横にして転がれるようになった。

身体の下にある腕を反対側に抜く、という段階は、少し遠い目標だなあと思っていたが、
なんと、私が電話待ちの時間に、身体をモニモニと動かしながら、じわじわっと手を抜いた!

あー、この決定的瞬間を、電話待ち時間に取られてしまった!

手を抜いても、踏ん張ることができずに、カニューレがつかえたまま裏返しにべったり寝ている力は、
どうにかしなきゃともじもじするも、どうにもできずにいた。
ここから電話を切った私が少し手伝った。
両肘を立たせて、額の下にバスタオルを丸めて敷いて頭の高さを確保、
そのまま頑張らせてみたが、やっぱり泣いてしまった。

それを後から見に来ていたおねえたち、すごいすごいと囃していたので力もすぐに機嫌がなおり、
再度トライしてみると、手を抜くまでは、また、できた!

三度目はさすがに嫌がって泣いてしまったが、二度もできたということは、
かなり身体のイメージができてきたのだろう。

このごろの力の活発な運動量を見るにつけ、なんかできるんじゃないか、と希望を持ちつつ、
あんまり期待して無理させたらいかん、と抑えながら、過ごしていたが、
まずは、のうつ伏せ状態。
とてもうれしかった。
下おねえRは、夫やばあちゃんに、すぐに電話連絡入れていた。

「あのねえ、ちーくんね、うつ伏せでね、ちゃーんと手を抜いて、顔上げたと!すごかろ!」
(ホントは自力で顔上げてはないんですがね。。。。)

事故に注意しながら、彼の進化を熱く見守りたい。