みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

【特別寄稿】力の介護・看護技術取得研修を終えて(チカラチチ)

「力の世話したっちゃけんさ、ブログ、特別に書かしちゃーよ」

いつもの通り、字面では穏便ですが、そう「威圧」された私、夫です。

曲がりなりにも2週間、力の「介護・看護技術」取得研修にまい進した感想などを
書かせていただきます。

毎朝午前6時半-7時ごろ起き、夜は深夜1時半-2時に眠るという、
私としてはぎりぎりの睡眠時間。

そして、最も難しいのは、妻もいつも強調してますが、力のカニューレひもの交換。

この2つを、ちゃんとクリアして過ごすことが出来るのか、これがこの研修で
超えなければならないハードルでした。

結果的には、優・良・可でいえば、やっと「可」を取得できたのではないか、と
自負しています。(妻がどう考えているかは不明)

帰福した日に渡された、妻が夜を徹して1日で作ったという「力のお世話ノート」。
題名だけでみれば何かほほ笑ましいものの、中身は尋常ではありませんでした。

力が生まれてから現在までの病状説明、かかりつけ病院や医師、ヘルパーさんたちの
連絡先一覧、力の世話の一日の流れ、注入や投薬の詳しい方法、そして
カニューレひも交換の写真付き解説…

これ、売れるよね。

しかし、そのココロは「これだけのことをやらなくてはいけない」との無言のプレッシャー。
何かを喉元に突きつけられたような何とも言えない圧迫感の中、研修生活がスタートしました。

細々書くとキリがないので、詳細は省きますが、
短い睡眠時間は、意外とOK。大体3日に1日は妻が交代してくれたし。

しかし、これが日常だと、体にこたえるよなあ・・

そして、問題のカニューレひも交換。

初日、風呂から上がり、その準備にとりかかった父(私)を不思議そうにみつめる力。
冬というのに、力にパジャマを着せるのも忘れ、冷や汗にまみれ、
原稿書かなくちゃいけないのに、締め切り迫っているのに、なかなか言葉がでてこない、
あのいやあな感覚と同じ焦りに苦しみながら、
お世話ノートを何度も確認し、今まで口頭で教えてもらっていた方法を必死に思いだし・・

1時間後、曲がりなりにも交換を終えた。
その瞬間、力が、良かったね、というように笑った。
いつもの「あくまくん」みたいなニヤリ顔ではなく、ほっとしたような、ねぎらってくれるような笑顔。
父ちゃん、泣いたよ・・

しかし一度、時間かけてできた(ように見えた)ところで、これで合格ではない。
だって妻は5分でできる。

しかも、本当に夜中、外れないのか。寝てるときに、知らずに外し、カニューレも取れ、呼吸困難になって・・
とか考えると、寒気がする。命の境目って感じで。

この恐怖感と、常に戦う、ってのは、本当につらいなあ・・

今回の研修、目的の一つは、そんな体にこたえるつらい毎日を送っている妻を、少しでも
自由にすることだった。

というわけで妻は温泉旅行とかに行ったわけだが、それは別記事にアップしているようなので
、それはそれで楽しんだようなので、まあ良かったのかなあ。

しかしその間、私も緊張したが、力も分かっていて緊張していたようで、だからこそ乗り切れたようで、
これも「可」かね。

この妻の旅行が終わった後は、ちょっと自分でも気が抜けて反省。
風邪気味になって、2日ほど寝込んだ。申し訳ない。

で、ハウステンボスに行ったわけだが、同じく体調不良気味に陥った力が、何とか頑張って
元気さを見せたのに負けないよう、私も体調を持ち上げ、これまた楽しく過ごすことができた。

個人的には、家族の写真を撮りまくり、楽しかった。

研修最終日の夜、とりあえず最後のカニューレひも交換に挑んだ。
って期間中、通算5回目ぐらいやけど・・

「鬼教官」の妻に横で見ていてもらった。

この日までは、
父ちゃんの手際の悪さにうんざりという感じで手足をばたばたさせることが多かった力も、
おとなしくしていてくれる時間帯が多かった。

所要、約30分。
最後の結び目、ほどけない固結びができるかが難関だったのだが、それも結構クリアでき、
終わった。

力は、素っ気なかった。

しかし、父を気遣って笑わなくてもいいくらい、普通に、スムーズにできたからかな、とも思う。
違う??

こうして、父は東京に戻った。
その後、力は、頑張ってくれていたということなのだろう、今は風邪気味のようだ。

妻はまた、怒濤の毎日を送っている。

しかしちょっとは力の世話に慣れた今、思うのは、確かに力は常に命のリスクを抱えているが、
基本的に、看護・介護というのは、リズム的には、普通の子育てと何ら変わらない、ということだ。

ということは、
子育てそのものが、力の世話と同じように、大変、体にこたえ、ある意味、「つらい」
ことだ、という考えも成り立つ。

世の母親たちは、そういう日常を送っているのではないか・・

そんなことに気づかせてもらったと思う。

私は今回、会社の制度を利用し、本来なら家族と過ごすことは休暇と同義だから
認められないルールを、「障害児の世話」という理由で無理を言って「研修」させてもらったが、
大変ありがたかった。

もちろん、支えてくれた妻、いろいろ手伝ってくれた娘たち、そして力にも感謝、感謝である。

最初は丁寧な言葉だったのに、途中から崩れてしまった。
だって、仕事の合間を縫って、急いで書いたからです。

それは、「はよ、書きーよ!。でも別に良いけど」(→別に何が良いんでしょうか・・)
という、妻からの「脅し」があったこともここに記します。

ブログ書きも含めて、ああ楽しかった!