みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

「崖の上のポニョ」を子どもたちはこうみる

夏休み企画第二弾として、ジブリの「崖の上のポニョ」を観に連れて行ってやった。
ジブリものはほとんど押さえている私だが、劇場鑑賞はなし。
今回、夏企画にかこつけて、全画手書き、という作品を自分が観たかったのもあった。

下のおねえRの保育園のお友達を2人連れて、子ども四人と行った。
上のおねえNは先日、「犬と私の10の約束」で経験済みだが、
Rとお友達は、映画自体が初めてのこと。

朝一を狙ったが、到着してチケット売り場に行くと、既に前列しかあいていないという。
次回を待てる余裕なし。(ヘルパーさんの時間で)
ということで、前2列目という、すごい位置取りをさせられた。

入ると、やっぱり、朝一にしてはかなり多い。前2列は、座ってみてもかなりシビアな席だった。
こどもたち、大丈夫だろうか。

ずらっと並んで座り、予告編が始まった。
この予告編は、いつもながら、曲者だと思う。そこまでハードなものはなかったが。
子どもたちの顔も、ひええ、だった。(ここで子どもたち、かなりダメージを受けたにちがいない)

イメージ 1
ようやく始まったが、
すぐにいかにも
手描きな海の絵からスタート。
なるほどねえ、
と見始めた。
この崖の上の、
そうすけくんの家が、
一番象徴的であり、
印象的だった。

途中、一緒に行ったお友達が「こわい」と言って抜けたが、後半は復帰してラストはチェック。


映画初体験の子どもたち、
やっぱり前列はしんどかったようだった。これは、ほんと、申し訳なかった。
でも、それを差し引いても、
園のお友達はほとんど、もともとテレビをみない(みせられていない)子どもたち。
いきなりの大画面、いきなりの大音量、かなり、刺激があったように見えた。

「首が痛い」
「音がうるさかった」

ポニョどうやったー?と尋ねると、そんな答えが返ってきた。
そこででさらに聞いた。ポニョのおもしろかったところとか、こわかったところとかあった?

イメージ 2
「うーん?」
「わからーん。」
「魚の時がかわいかったねー。」
「妹たちがたくさんおったねー。」
「カエル(半魚人)の時が、ちょっといややったー。」

かなりがっくりな貧弱回答。あ、そうー。そっかー。そんなもんー?

大画面大音量の映像刺激は、たとえジブリでも、手描きでも、刺激には変わりない。
映像に慣れない彼らには、物語を楽しむ以前の問題だったようだ。

制作趣旨で、原点回帰だ、子ども目線だ、と、言われていたこの映画。
試写会での子どもの反応が芳しくなくて宮崎監督はがっくりした、という報道もあったが、
我が娘たちの反応も全く、「芳しくない」。

試写会で観た子どもたちは、試写会に来るくらいだから、ジブリファンだと推察する。
その彼らの反応のなさの理由は、よくわからんが、
娘たちのは、まさに、映像毒にあたった、ということだろう。

どちらにせよ、子ども目線で作られたらしいこの映画は、
連れて行った四人の子どもたちからは確実に、「いまいち」の評を受けた。
先日、娘たちを連れて行った、夏休み企画第一弾、
劇団四季の「ライオンキング」観劇後の反応と、なんと違うことか!


テレビや映画などは、大人が誘導しなければ、特に小さな子どもは見ることはない。
「テレビばっかりみて」、とか、「ゲームばっかりして」、
と、後で嘆くようになる要因は、大人が自身で作っている。

2歳以下の乳児の脳発達について、テレビ視聴の影響が大きく取りざたされていたが、
娘たちの映画への反応や、
テレビを見ながらテレビに魅入られているかのような感じや、
こんなアニメであっても、物語が頭にあまり入らないほどの、違う刺激を受けている姿を見るにつけ、
乳児の問題だけではないな、これは、と、改めて危機感を持った。

まあ、実際、テレビさえ見せとけば子どもはおとなしい、とよく言われるくらいで、
その時間は大人は束の間?の自由時間を取れることは、
実際3人の親になってみると、よくわかるし、
自分もテレビ視聴時間に助けられたことは多いから、偉そうなことは言えない。

でも、少なくとも、まだお話も理解できないくらいの子どもには、
できるだけ、映像刺激よりも、ライブ刺激をふんだんに与えた方が、いいと思う。
テレビ視聴は、これくらいいいでしょ、という低い入口に入ってしまって、
いざ出る時に、びっくりするほど高い所にいて、もう降りられなくなるのに似ている気がする。

人間の感性は、簡単にお手軽に作られていくものでは絶対にない。
絵本を読みきかせたり、実際触ったり、においを嗅いだり、きれいな空や海を一緒に見たり、という、
地道に目立たないことの積み重ねだと思う。



ちなみに、大人の私の感想は、というと。(全部見ていないので、総合評価はできないが)

観る前からの極端ともいえる賛否両論を見聞きしていたので、ちょっと色眼鏡付きで見はじめた。
ポニョの手描き感は、昔子どもの頃大好きだったハイジやコナンみたいな趣があって、
懐かしさを感じて好ましかったし、
♪ポニョポニョポニョさかなのこ~♪のテーマソングは、頭の中をぐるぐるまわるが、
ジブリ作品の「何度も観たいリスト」には、遠く入らんかなあ、という印象。
私にとっては、「もののけ姫」以降、ずっとヒットなしなのだ。

まあ、ここまで議論が巻き起こるのも、話題作、であることには間違いないからか。

個人的にはすでに息切れを感じているが、まだまだやれるのか?ジブリ?次はいずこへ?