みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

胃ろうボタン抜去

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今日は療育通園日。
朝からあやしい雲行きだったが、出がけにぽつぽつ降り出し、到着した時には豪雨になっていた。

金曜夜から微妙にいいのか悪いのかわからんような力の体調のため、
母は何となく夜寝きれずに、週末にかけて3時過ぎの就寝。
週明けはかなりしんどい状態で迎えた。
そこでこの雨。げっそりだ。

今日の活動として、「ことばの学習会」があった。
大人の学習会なので、その間、子どもたちは先生と看護師さんがみてくれている。
力は、いつもどおり移動中まで熟睡して、到着後起きてごきげんよくなって、
母がいない時間は、(吸引してくれる)看護師さんが驚くほど、吸引いらずで元気だったそうだ。


「ことばの学習会」
は、療育センター所属の言語聴覚士(ST)さんのお話。
基本的な、一般論で、やや堅苦し目の講義ではあったが、
ことば-コミュニケーションの、基本知識なのだと思う。
久しぶりに、講義っぽい話を聞いたなあ、と思った。
最後の、人と人のコミュニケーションの中で、
ことばの役割はたったの3割程度、とのことが印象的だった。
ことばだけでは、よりよいコミュニケーションは不可能なのだ。
昨今のweb依存な世の中の問題点を浮き彫りにさせるこの一言。

力のおかげで、こんな勉強ができ、大人も気づきのきっかけを得ることができる。ありがたいことだ。
(参考までに内容は最後段に記。)


その後、すぐに昼食。
今日は初めて、胃ろうから、給食で出してくれるペースト状の食事を入れてみた。
まずは最初なので、ごはんペーストをお茶でのばし、10mlほどでトライ。
いつもの胃ろう用チューブでは細いので、
少し太めのチューブを使い、大きな注射器で微量ずつおし入れる。

まあ10ml程度だ。問題なく入ったので、あとは、げりぴにならんか、おう吐はないか、
と、後観察が重要である。

その間、リハビリの先生が、口から食べる練習をしてくれていた。
気が紛れていた感じで、結構食べていた。
珍しく何口かいけていた。ごくごくと連続して喉を鳴らしていたことが、一度あったらしい。

なかなかいい感じ!

給食途中で、短時間の親子分離時間がある。その間、大人は別フロアの別室にて昼食をとり、
子どもたちは先生と看護師さんで面倒を見てくれる。

さあ食べようか、というところで、食事室にかかってきた内線で呼ばれた。

なんと、胃ろうボタンが抜去したらしい!

胃ろうボタンは、注入するチューブを差し込む差し込み口で、
胃に直接入っている短い管である。
抜けないように、先端に生理食塩水を適量入れて、風船みたいに膨らませている。(=バルーン)

急いで戻ると、力はわきゃわきゃご機嫌でばたばたしていた。

抜去の原因としては、このバルーンが何らかの理由で破れてしまったり、
中に入れている生理食塩水がすっかり抜けてしまったり、で、
ひっかかりがなくなって抜けることがほとんどなのだが、
力の抜けた胃ろうボタンを見ると、バルーンはまだ結構膨らんだまま。

何かの力が加わって、スポンと抜けてしまったのだろう。
以前、私も一度抱っこした時にやらかしてしまって、夜病院に走ったことがあるのだ。

見てくれていた先生は、抱っこした時に号泣したので、もしかしてその時かも、と言われていたが、
多分そうだろう。
力は、あーせいせいした、とばかりに、あわてる大人を尻目に一人で大騒ぎしていた。

胃ろうはお腹に穴があいているだけの状態なので、
そのまま放置していると、体の回復力で、穴がふさがってしまう。
穴がふさがると、また手術で開けねばならない。大変だ。
すぐにかかりつけの外科医に連絡して、病院へ。
担任の一人の先生がわざわざ同行してくれた。

すぐに対応できたので、問題なく新しい胃ろうボタンを入れるてもらうことができた。
抜去したボタンを医師に見せると、もともと入れていた生理食塩水が半量以下になっていたとのこと。
やっぱり、抜けやすくなっていたんだ。

その後、ついでといってはなんだが、耳鼻科にも寄り、
カニューレ交換等してもらった。
気管切開孔のできものや、術後の傷痕の一進一退も気になっていたのでちょうどよかった。

できものは膿を持っているようだったので、細菌検査をしたのだが、
その結果、
緑膿菌
インフルエンザ菌
が検出された。
インフルエンザ菌は、いわゆる流行りもののインフルエンザの病原体ではない。名前だけ同一。
緑膿菌ともに以前も力から検出されたことがある。

緑膿菌とは、代表的な常在細菌の一種で、
健常者に感染することはほとんどないが、
免疫力の低下した人には感染して、院内感染に関連して聞かれること多い菌だ。
MRSAと同様、耐性菌であり、抗生剤が効きにくい。

ちょっと弱くなった部分にとりついてくるこんな菌は、
一歳時の力の生死かかった大きな手術より以降から検出されるようになった。
耐性菌のため、一度とりつかれれば、すっかり除去は困難なので、
できるだけ悪さをしないように、体を健康に保っていくしかない。
あとは、対処療法。とりあえず、効きそうな抗生剤を処方してもらった。

まったく、MRSA緑膿菌も、やっかいなものだが、
お友達として、付き合っていくしかないんだろうな。
気管切開孔のガーゼが黄色くなるのは、もしかして胃酸と、この緑膿菌も、なのかも。

力は、帰宅後、訪問看護師さんの訪問を受けたが、
いつもの看護師さんに看護学校の学生さん二人が同行してこられて、
若いお姉さん大好きな力、サイコーにご機嫌状態。現金なやつだ。

私の不在中、おう吐はないが、水っぽい柔らか便がたくさん出たらしい。
これが注入したごはんペーストのせいなのか、それとも、ほかの原因なのか、
ちょっと判断しかねるところである。

まあ、ぼちぼちいきましょう。


☆ことばの学習会2008.5.19☆

1.ことばの働き→・伝えあう
         ・考える(無いものを想像する) 
         ・気持ちや行動を調整する(よいしょ!あれ?などの無意識言語など)

2.ことばの発達→コミュニケーションが高度化して言葉になった
         ・ことばのくさり(speech chain)
          ゞζ叡躇奸柄佇?バナナを認識)
          聴こえ(バナナと母が子に言う)
          M?髻併劼稜召涼罎妊丱淵覆わかる)
          ど十弌頁焼發慮斥佞琉悊出しからバナナを探す)
          ト音(バナナと言う)
         (κ譴繰り返しバナナと言って発音が定着する)
  
3.ことばを支えているもの→楽しい、心地よい経験の数々を通した信頼関係、興味、愛着
          言葉の習得:モノのイメージや印象(=抽象概念)を心にどう植え付けるか?
               →視覚嗅覚触覚など五感に訴える
               →興味を持たせるために、楽しい雰囲気、好きな人と、などの状況

  ※コミュニケーションの中でのことばの割合は約3割でしかない。