みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

お姉ちゃんがおってよかった!

下のお姉ちゃんRは無事入学し、子ども会主催の集団登校中だ。

マンションエントランスホールで集合して、まとまって行くのだが、
ホールまではおねえが連れて行ってくれるし、大変助かっている。

入学から3日目の週明け。
少し寝坊したRは、食事も遅れがちで、ばたばたと出て行った。
ふと見ると、名札がぽつん。
あらー、きれーに忘れていっちゃってる・・・

走って追ったら間に合いそうだったが、
力が起きており、注入中でおいそれと動かせず。
さらに、療育通園前だったので、自分も準備でばたばたもしており、
まあ、名札忘れてもどうってことないやろ、経験経験、
と、放っておくことにした。

すると、下からインターホンが。
おねえであった。

N:「Rさあ、泣きよーよ!名札忘れとーもん!」

下に集合してすぐに忘れたことに気づいたR。
集団登校で並んで待っていたため、誰にも言えず、
おねえに助けを求めたようだ。

母:「あーそうやろ、ここにあるもん。
   ちーくん起きとーけん、お母さん下に降りられん。N家まで上がってこられる?」
N:「ええー?もう無理無理。遅刻するもん。」
母:「そんならRに、そのまま行きなさい、って伝えて。」
N:「ええー?だってめちゃくちゃ泣きよーってば。」
母:「わかったわかった。」

NのRへの気持には負けた。
力はぼんやりと落ち着いている。どうにかなるかと、走ることにした。
こんな突発時がとても困るのだ。
力、ちょいと待っといてよ!と言い残して、下に走る。
通勤時間帯なのでエレベーターは来ないし、各階停止で遅い。

やっと下に降りると、Nがスタンばっていた。ホールはもぬけのから。

母:「あら、Rたちもう行ったと?」
N:「そーうよ。もう出発時間過ぎとーもん。R泣きながら行った。」
母:「Nが代わりに待っとってくれたと?」
N:「うん。早くちょうだい!」

こう言って、名札を奪い取り、すごい速さで駆けて行った。

あとからきくと、楽勝で間に合い、名札つけてやったらしい。


まったくねえ。Rはほんと助かってるよなあ。
Nはねえ、なんやかんや、入学したてのRの社交性に嫉妬しながらも、
姉としてほっとけないんだろうなあ。

帰宅してきたRは言った。

「R、お姉ちゃんがおってよかった~!!」