みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

勇気を持って海を行けR!~Rの卒園式

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下のお姉ちゃんRが、
生後三ヶ月からお世話になっていた保育園。
週末、無事卒園できた。

R、この園生活6年間のうち、
前半部分は父母共に仕事等で激務、
後半は力のことで日常が激務となり、
ある時は放浪生活、
ある時は上のお姉ちゃんとラストまで延長保育、
などと、
結構過酷な毎日を過ごした。
それでも、健やかに明るく、病気知らずの不死身ちゃんに育ってくれたのは、
ひとえに、この保育園のお陰といっていいと思う。

この保育園には、知人の紹介で偶然入園した。
入園直後は、考えていた保育園像とあまりにも違うため、
驚きの毎日であった。
実はこだわりのある親にとってはとても人気のある園だというのを後から聞いた。
入れたのは本当に幸運な偶然だった。
この園に通っていなければ、きっとこの数年間を乗り越えられなかっただろう。
先生、お友達、父母の皆さん、お世話になりました!ありがとうございました!!

さて、この園とは。

0歳児から、生活リズムをメインとして、
食事や排泄、その他について、
親がかなり指導される。
仕事復帰直後の心身ともにいっぱいいっぱいの時期、
早寝早起き、野菜中心の和食など、
一つ一つの指導に、新米母ちゃんの私は半泣き状態の毎日。
夜中にしんどくて涙したことは一日二日ではない。

それでも、慣れというのは不思議なもの。
どうにか努力していると、当たらずといえども遠からず。
どうにかなっていくものだ。
今となっては、早寝早起き、和食手作り中心、朝食にごはん、なんて、
うちでは当たり前の生活風景である。

もう一つの大きな特徴である園の父母会も、
盛ん、という言葉では足りないほど、
密に園と子どもに関わるようなシステム。
今までの生活はずっとドライ路線だった自分には、
これまた、大きなカルチャーショックで、
慣れるまでは少し時間がかかったが、
卒園した今では、
この父母会活動が全て子どもにつながる大きな役割があると理解できるようになった。
もう少し活動に貢献できればよかったが、
なかなかそれが叶わぬ身となり、それだけは心残りである。


そんな親子共々の毎日の集大成が、卒園式だ。

朝一で集合して、
式は二部構成+午後の謝恩会というスケジュール。一日がかり。

一部では、身体表現。
走り縄で登場した後は、
竹馬、まりつき、コマ回し、さくらんぼリズム、盆踊り(今年は沖縄民謡)など、
今まで日々の活動の中でつけた力を、皆さんの前で披露する、という趣向で、
特に卒園式のために、というものではないことが、特異な点だ。
保護者等は、今までの子どもの生活力や基礎体力の成長ぶりを、みることができる。


実は、上のお姉ちゃんNの2年前の卒園時、
2部での子ども構成詩の際、
Nは、一人だけ言葉を忘れて言えず15分間中断させてしまう、
というエピソードを経験してしまい、
(今のところ自分では消したい過去らしい)、
それを観客席でみていたRは、
「お姉ちゃんみたいにできんくなったらどうしよう」と、
ちょっとしたトラウマみたいになっていた。

1部でのコマ回しと竹馬、
2部の最初、自分の名前を言って入場する、
という3つのことに、
うまくできるかと、不安を持っていたらしい。

卒園式前日、
「あのね、Rね、3つ、ドキドキしとーことがあると。」
と、
今までさわりでさえも、絶対に卒園式の内容を教えてくれなかったRが、
とうとう、弱音を吐いた。

「大丈夫大丈夫。間違ってもできんでも、何回でもやっていいけんね。
お母さんもお父さんも、なーんも、恥ずかしくないし、ずーっと応援するけんね。」

母のいつもの寝る前の特別魔法にて、少し解消したのかどうか、
当日は、
ものすごくこわーい顔で気合万全でとりくみ、竹馬もコマも危なげなくクリア。

ほかのみんなも、しっかりやれていて、たくましかった。


2部は、証書授与式として、晴れ着に着替え、
親もホールに参列して、
先生方の歌や構成詩、子どもの歌や構成詩、親の構成詩、謝辞などと続くセレモニーだ。

Rの2部での懸念事、自分の名前を言って入場する、も、
ものすごくこわーい顔で怒ったように「○○R!!!」と入場してきて、クリア。
証書授与に続く子ども構成詩では、
一連の流れをすっかり把握しており、
みんなで立ち座る時はまっさきに、
また、構成詩の間中、背筋を伸ばしてこわーい顔で居た。監督のつもりか?

詩の中で、
3人の子が前に出てきて、セリフを話す役の一人にRはなっており、
構成詩途中で、前に出てきたR。
親のドキドキを尻目に、
やっぱりこわーい顔で、早口にて終了。
少しつっかえたが、なにくそとばかりに言い直してクリア。

こわ。

Rの表情が崩れたのは、子どもの構成詩が終わってようやくだった。

緊張してたんだなあ。。。。。

でも、よかった。きっとあの顔は満足の満足の呈。

無事終わり、謝恩会も無事済んで、
夜帰宅するくらいには、げほげほと喘息様になっているではないか。

緊張が解けたんだなあ~。

帰宅後吸入して、早めに寝せた。

Rは、気合だ。その晩、思った。
何度もあったハードな日々をクリアする根底には、
気合だー!とあからさまに表さないが、
内なる気合の心から、きている。
多分、唯一、家族内で、鬼母に対抗できる彼女。

でもそれに加えて、
最後の最後で弱音を自分で母に吐いたところで、
Rは、勇気を持てた。自分の弱さをさらす「勇気」。
今年の子どもたちの構成詩キーワード「勇気」。
多分これがRにとって、
まさに、園生活最後の、最も大きな収穫。

これからも、たくさんの困難が待ち受けているだろうけど、
もうキミは、何でもできるよ。鬼母が保障する。

構成詩ベース、「わらしべ王子」のように、

「勇気を持って」海を行け!R!!

卒園おめでとう!!