大人二人とも歌好きなので、
子どももその血を受け継いだのか、はたまた、環境に慣らされたのか、
得意とはいえなくても、音楽が大好きであることは間違いない。
現在難聴と診断されている力でさえ、
耳元で歌うと、じーっと聞いたり身体をゆすったり、うれしそう。
ルーティンな一日のうちで、
誰も歌わない、ということは、ほとんど無。
誰かしら、声を張り上げて歌っているうるさい家だ。
ちょいと古い話だが。
こんな家なので、
大晦日の紅白歌合戦、なんやかんや言いながら、
絶対欠かすことの無い季節物。
いつもはテレビがほとんどついていないが、大晦日は特別。
寝る前まで、子どもたちもみていいことにしている。
子どもがいればリアルタイム視聴がほとんど不可能なので、
毎年録画、元日に子どもたちが、その録画をみる、というパターン。
で、お気に入りの曲を何度もリクエストして、すぐに覚えてしまう。
その速さ正確さたるは!
驚くほどだ。
何度か聞いただけで、
歌詞の意味も分からず、すっかりそらんじている。
下のお姉ちゃんRは、特にそれが得意で、
その上、難曲といわれるものでも、
メロディラインまでしっかり記憶して、鼻歌交じりにふんふんと歌う。
今年はレコード大賞もあり、きっと多くの家庭がそうだったように、
コブクロ「蕾」を、
お姉ちゃんズ、まっさきに覚えてしまった。すらすらと、間違えずに歌っている。
私がでたらめに大声で歌っていると、却下される。
たまに放映されている、
「間違わずに歌えたら200万」
のテレビ番組に出演させたいほど。
そんな正月休みのある日。
いつものように、休日は力が寝ていれば、大幅に寝坊してしまう母。
既にいつもどおり起きているお姉ちゃんたちは、
邪魔せず、おとなしく遊んでいるのだ。いい子達やわあ。
下のお姉ちゃん、冬だし、甘えもあって、布団にもぐりこんでくる。
そして、歌い出した。
「わからないことだらけでも ほんとのことだけさがしていこう
そんなきもちをだれもがきっと せいしゅんとよぶのだろう」
-あー、まきはらだー、と母はぼんやり。
「まっすぐにまっすぐにのびる このみどりいろのみちを
あるきながらつづいていく ぼくらのぐりーんでえいーず」
-げ、全部歌いきった。念仏みたいやなー。すげーな。
次曲。
「ちゃんとあなたに つたわあってるかなあー じゃんじゃじゃーんちゃらちゃっ
ねえーあなたとだからー~」
-ドリカムやー。効果音付かー。
三曲目。
「ひらひら、まいちる はなびらがひとつ ゆらゆら さまよい あなたをみつけた」
-?これは?
「このてでええ このてでえ あなたを よごしてえ なんども なんども わたしをこわして~」
-!!?!
「そのてでえええ なんどもおおお!!(片手を上げて絶叫調)」
もー耐えれん。
爆笑のうち、目を覚ましてしまった母。隣で爆睡していた父も、ついにこらえきれずに。
「あのね、R、歌うのはいいけど、その曲さあ、この家以外で歌わんでね。」
「えーなんでー?そおのてでええええ、わたしをおおお、こーわーしいてえええ!」
(この後、調子に乗り手をつけられず)
歌を覚えるのはいい。
でも、子どもにはまだ早い曲は、全くたくさん存在するものだ。
ちなみにRが歌ったとどめ曲は「哀歌(エレジー)/平井堅(:映画『愛の流刑地』の主題歌)」