みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

「世界で一つだけの」誕生まで

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以前にも書いたが、
今回作った椅子とバギーを作ってくれた業者さんでは、
特にバギーについては、
素材や色のバリエーションが多く、
全てこちらで自由に選べるオーダーメイド。
さあこの中から、どうぞご自由に!、
といわれると、意外と困るものである。

「世界で一つだけのかっちょええ」
バギーを作ろうと張り切っていたが、
いざ決めようとすると、これもあれもと、頭ごちゃごちゃ。
こりゃいかん、お姉ちゃんたちや、ばあさんの意見を聞こうと、
基本型の色無しデザイン画を作成して、
色塗りをしてもらった。

お姉ちゃんたち、延々とデザインし続け、
20種類以上のバギーの絵を描いてくれた。
途中から、コンセプトを決めてから色塗ってよ、と、
子どもにはかなり難しいテーマを課したが、
コンセプトの意味を説明すると、わかってくれたようで、
それからは、
テーマ「○○のベビーカー」
と、タイトルを上に提示して、デザインしてくれた。

このテーマ設定。かなり受けた。
「春 廖崕姚◆廖屬さんぽ」「朝」「夕やけ」「夜」「お花ばたけ」
こんなところまではまあまあよかったが、だんだんエスカレート?
「夏の朝7時くらい」「これにのると元気もりもりになる元気いっぱいまほうベビーカー」
と、どんどん長くなってきた。
下のお姉ちゃんに至っては、
「ちいくんがすきだとおもうのをかこうとおもいました」
と、自分の目標、になっており、
コンセプトとは別物になっていた。

しかし、子どもはすごい。
大人には真似できない、子どもならではのセンス。
自由にどうぞ、と言われた時、
一般的な多くの大人は、
多くて3色、それも、2色プラスアクセント1色くらいしか、
使いきれないのが普通だ。
それも、同系色であわせたり、
アクセントで反対色を使ったりする程度。
無難に、とか、汚れるから淡色はダメ、とか、
そんな、「実」を中心に考えてしまうことが大半。

子どもはお構いなしだ。インスピレーションに忠実。

少しはデザイン、色彩の知識のある自分のや、
とことんまじめに考えてしまうばあさんのは、
子どものと比べると、
何となくこじんまりとまとまりすぎていて、つまらなく見えてきた。

といってもさすがに、
子どもたちのそのまま現実化するにはどうよ?と思い、
盆に夫が帰宅した際に、
子どもたちの案を参考に、
私たちの意見も入れて最終案を作成した。
夫が帰ってしまった翌朝、おねえちゃんに見せたら、
一蹴されてしまった。ダメダメこれいやだー。

あんまり嫌がるので、
そんなら、もうあんたたちで決めていいよ。最終案を書いてみて。
と、投げた。

こちらからの指定はただ一つ。
フレームを赤にすること。

フレームの色で、何が一番少ないですか?
と業者さんに聞いたところ、
赤はあんまり見ないですねえ、
と答えが返ってきたのがきっかけだ。
「世界に一つだけ」には、赤いフレームだ!と。

それに、赤のイメージは情熱や命。色彩的なインパクトも、最大。
実際のフレーム色見本もとてもきれいだった。

お姉ちゃんたち、それから一生懸命案を練り、決めたのが、

「元気いっぱいベビーカー」

赤いフレーム、シートに青、オレンジ、黄色を使って、
まるでLEGOだ。

かなり勇気いるぞ、これ、と思いながらも、
約束なので、この通りオーダーした。
オーダー時、
日よけと、足乗せ台も作ることになり、
これは、私がその場で赤、黄緑、と、指定した。
もうここまで色使ってるもん。まだ使っちゃえ。
全5色、色とりどりカラフル。

さあ、頼んでしまった。
すんごいのができてきたらどうしよう、
どきどきしながら待っていたが、
できあがった実物はデザイン画どおりながら、
なんとまあ、いいじゃない!最高~!!

まあ、それもそのはず。
同じ素材で、同じようなトーンの原色を使っているんだから、
変になるはずはないのだ。

業者さんから、
「いやあ、私たちも、バギーでこのような派手派手なのは、
初めて作りました。
作ってみてできあがったら、意外によくまとまっていて新鮮でした。
ありがとうございました。」
と言われた。(お世辞かもしれないが)


「世界で一つだけのかっちょええ」
の、かっちょええ、は、人によって評価はいろいろだろうが、
できあがったバギーは、私たちにとって、
「世界に一つだけ」という、
当初の目標は達せられたと思う。満足満足。

お姉ちゃんたち、大人になって、
デザイナーやものづくりにかかわることになるかどうかはわからないが、
自分たちで考えたものが現実化する、という楽しみは、
少しはわかってくれたのではないか、と思う。
きっと、このバギーを大事にしてくれるだろう。

「元気いっぱいベビーカー」に乗る力。

どこぞで見かけたら、声かけてください!