みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

聴覚検査にて

今日は療育センター。

先週、療育センターの前日に、
力に「明日保育園よ~!うれしいね、楽しみね。」
と散々言っていたからか、ものすごく夜なべしたので、
今週は一言も療育センターの話をしなかったのに、
ものすごく夜なべした。
雰囲気でわかるのか?
それとも、もう曜日を把握しているのか??

今日の療育では、力は盛りだくさんにやることがあった。
午前中、センターの医師による定期健診。
その後、正午から、聴覚検査、
午後から、耳鼻科健診、リハビリ。

聴覚検査は、本日のメインイベント。

昼の注入後すぐに防音室にて言語聴覚士さんと。
担任の先生が一人、ついてくれた。

検査は、主観的な原始的な?方法。
音域ごとの音を出し、
それが聞こえているか、
呼吸や表情、動作で判断する。
ということで、母の私の意見は、かなり重みがあるのだ。

現在のところ、
力の脳波を含めた聴覚は60~70dBという判定。

結論から言うと、
今日の検査では、70dBで反応が見られた、と判定された。

力は昼飯後、眠たい前だったが、
かえってよかった気がする。
本当に聞こえているのかは、本人しか、というところだが、
母の私や、プロの言語聴覚士さん、子どもを見るプロの保育士さんがみて、
70dBの音が鳴ると、呼吸の調子が変わったり、ちょっと息を止めたりしていた気がする。
おもしろかったのは、
ぼーっとした顔している時に、音が出ると、
ぴょんっと眉毛を上げた反応。
いやあ、キミはおもしろいよ。笑ってしまった。

その後の耳鼻科医の診察で、
聴覚の身障者手帳の書類を書いてもらった。
両耳70dBで6級。
聴覚では、手帳交付される最も軽度のランクだ。
早速補聴器を作ることになった。

-また、やることが増えますなあ、力くん。

難聴は、大きく、伝音性と感音性にわかれる。
難聴の多くは感音性で、簡単に言えば、神経などの障害によるもの、
伝音性は、耳介の形状等の異常でのもの。

力がそれと言われているトリーチャーコリンズ症候群では、
顔面下半分の奇形。
耳については、
耳介低位、が一般的な症状で、
低位に伴い、外耳や内耳の形状の異常が見られることが多いそうだ。
ということで、難聴になるとしたら、伝音性であることが比較的多い。
でも、必ず伝音性難聴ではないという。
つまり、いつもと同様、よーわからん、ということ。

新生児期、聴覚の簡易スクリーニングを受け、
「両耳聞こえてません」
と言われた時のことを思い出す。

何かわからんけど、何か異常らしい、という力の新生児期に、
まずは、「難聴」が、最初にはっきりした診断だった。
聞いたとき、夫と二人でとてもショックを受け、
どうしようどうしよう、と、思い悩んだものだ。

でも、その後、リスク高い生命を脅かすいろいろが出てきて、
耳のことはすっかり後回しになった。

だから今回の身障者手帳判定も、
何だか、とても希望の持てるものだと思えたんだ。

「そんなら、聞こえてるんじゃん!これから、もっと聞こえるかもしれないじゃん!」
と、夫も、珍しく肯定的に捉えたようだ。
まあまあ。
力がうまれてもうすぐ2年経つから、
少しは進歩したってことだわね。

新生児期の聴覚簡易スクリーニングは、
とりあえずOKかNGを判断するもの。
早期の難聴の把握は、
以降の育児に、とても有益になるとは思うが、
うちみたいに、両耳ともNGが出て、
耳が聞こえないの?そんなあ、どうしよう。。。と、
必要以上に悩んでしまう家庭が、絶対に多いと思う。

このスクリーニングで決まるわけではない、
聞こえてないとはかぎらない、
との説明は確かにあったが、
もう、そんな説明は、
どうしようどうしようの気持ちいっぱいの頭には、
あまり入ってこない。

よしあしだなあ、と思う。
うちも、3人とも、
産婦人科で簡単に、スクリーニングしますか?
みたいなペーパーをもらい、
簡単に、やってください、と依頼して、
やってもらっていた。

でも、1500人に1人位の割合でNGがでる検査。
そのNGも、
治療不可能の難聴から、もしかして難聴かも、までのかなり幅広レンジがある。
簡単に、ではなく、
ちゃんと説明の上、患者も納得の上で、
検査を受けることができるようにしてもらいたい、
あの時の自分たちを思い出して、
そう強く思った。