みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

21.年中無休の二十四時間営業中

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「みんなのチカラに」連載第21回目が掲載されました。
http://www.nishinippon.co.jp/medical/2007/02/post_269.php

退院後の一日のスケジュールは、
この通りなのですが、
実際は、
外来受診などで外出したり、
お姉ちゃんたちの都合などで、
日中は30分くらいはずれてしまうことがしばしば。
といっても、
3時間毎の1時間以上かけての注入なので、
どこかで狂うと、スケジュール戻すのがなかなか難しいところ。
特に、深夜の1時、4時の注入は、
力が熟睡してしまうと、
ねぼすけの私が寝過ごしてしまうことが多く、
「あああーー。もう○時になってるーーー!」ってのが定番でした。
そのたび、力にはちょっと無理させてしまったかもしれません。

こんな24時間の看護は、
最初こそ気が張ってどうにかやっていけるけれども、
ずーっと続くと、知らぬ間に心身ともに疲労困憊してしまいます。
このスケジュールをほとんど一人でやっていた私は、
退院から半年後にとうとう体調をおかしくなり、
しばらくの間、
夫に、早めに仕事を切り上げてもらって、
夜の力担当を交代にすることにして、
少し解消しました。

でも、うちよりももっと大変な看護や介護を、
やっている人たちがたくさんいます。

退院してくれて、どんどん回復してくれる力の看護はしんどくても、
気持ち的にはずっと楽なのでは、と思います。


みんなのチカラに<21>年中無休の24時間営業中

 力が退院してばたばたの週末が終わり、さあ本番。日常が始まった。前夜もちゃんと寝てくれた。消化吸収も問題なし。なんていい子なの。

 早速、訪問看護師さんに来てもらうことになっている。訪問看護とは常時看護が必要な人に対して定期的に看護師さんが訪問し、看護してくれるサービス。週3日の予定で、お姉ちゃんの保育園の迎えの時に力を連れ出さなくてもいいように、たんの吸引などをしながら見てもらうことをお願いした。

 1回のサービスは90分間。必要最小限だが、力を外出による細菌感染などから守り、看護を受けられることはありがたいサービスといえる。週末を除く5日間のうち、残りの2日はおじいちゃん、おばあちゃんに交代で留守番や手伝いに来てもらうことになった。彼らが吸引をできることが大きく役立った。

 平日はこんな感じ。午前6時ごろ力起床。お姉ちゃんたちを起こして、7時に朝食、力の経腸栄養剤の注入。その後、登校や登園で私の不在時は夫が力のケア。私が帰宅次第、夫が出勤。10時に注入。午前中に家事と力の使う器具の洗浄消毒、経腸栄養剤の準備を済ます。

 昼1番で力を風呂に入れ、気管切開や胃ろうの処置などをして、午後1時の注入。3時半には看護師さんなどに引き継ぎをして、4時の注入をセットして保育園へお迎え。5時に帰宅、夕食準備。7時に夕食と力の注入。8時にはお姉ちゃんたちの風呂。9時に寝かせたら、10時、午前1時、4時に注入があり、適宜吸引とおむつ交換だ。あらためて見てみると、何とまあすごいスケジュール! 年中無休24時間いつでも開いてます、のコンビニ状態だ。

 実際は夫の出勤後、お姉ちゃんたちの帰宅までの6時間ほどはゆっくり座る暇はないものの、力と2人きりの幸せな時間だ。入院中と違って、病院と家の往復もないし、洗濯や食事は自由。力が眠っていれば、自分のことをできないわけじゃない。夜もお姉ちゃんたちが寝た後に力が熟睡すれば、観察しながら注入を時間通りにやればいい。

 入院前、逆流症でミルクを吐いていたころは1日6、7回の授乳のたびに2、3時間抱っこしっ放しだった。それに比べれば、確かに夜中も3時間ごとの注入はしんどいが、細切れ睡眠をうまくとれば、何とかやっていけそうだ。

 看護師さんの週3回の訪問、2週間に1回の主治医等の診察、それ以外のときの変調はいつでも、かかりつけの病院スタッフが電話で相談に乗ってくれる。退院後の力にはたくさんの医療支援がある。

 退院時、半年間お世話になった担当看護師さんに口を酸っぱくして言われた。「1人で頑張りすぎたらダメよ! どんどん周りに頼りなさいよ。特に父ちゃんにはしっかり手伝ってもらわんと!」

 まさに夫が最も問題なのよ。今までみたいな甘えた生活は許さんけんね!