みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

はーちゃんの悟り

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退院前なので、
病棟で声をかけてくれたり、仲良くしてもらった方々に、
ぼちぼちご挨拶をしている。

先日、一足先に先月退院したけんちゃんママには、
外来に来ているのを見つけて近況報告。
とても元気そうだった。
けんちゃんも、ちょっとぷっくりした感じで、いつものように、お得意芸をしてくれた。

ゆーきくんママは、来月の手術前に一時帰宅してしまうことになったので、
一足早いけど退院祝い、と、逆にプレゼントをもらってしまった。

Mちゃん、先日の手術がうまくいかなかったと聞いていたので、
ママに話しかけられない日が続いていたが、
今日は少し話せた。
ママが元気に振舞う姿を見ると私の方が泣きそうだったが我慢した。
Mちゃんは、今日は元気に、病室外に出ていた。
遠くで見て、やっぱり泣きそうだった。

はーちゃんとはーちゃんママは、
おたふく感染騒ぎで隔離された後、そのまま退院してしまったのだが、
今日、外来で見つけて、お話できた。

はーちゃん。とっても素敵な男の子である。
現在、片足は装具での歩行リハビリを続けている。

特に、入院が長い子ども達は、驚くほど大人びている。
はーちゃんも例に違わず。
今の今まで中学生と思っていたが、実は9歳という。
ひええええ。うそやろ。
いろんなハードルをクリアしてきたから、
そのへんのちゃらちゃらした大人より、よっぽどしっかりしてるぞ。

以前、まだあまり親しいとはいえない頃、
はーちゃんとママがリハビリで通路を一緒に歩く姿がとてもかっこよく、
素敵で、胸を打たれたので、
ずうずうしくも呼び止めて、後姿の写真を撮らせてもらっていた。
あまり、上手には撮れなかったが、
撮った写真を渡すと、とても喜んでくれた。
後姿は、なかなかないよね、と。
今度、それを他のところ(新聞連載)で使わせてもらいたいというお願いもあって、
仮原稿と共に渡した。

すると、一時して、ママがわざわざ病室まで上がって来てくれて、
「これ、感想文!」とお手紙をくれた。

今日、それを病室で読んでいたら、涙をこらえきれなかった。

はーちゃんは、9歳の今まで、いろんな部位で10回以上も手術をしている。
でも、ママは、「自分達は幸せだ」という。
入院すると、他には、命にかかわる病気とたたかうみんながいる。
自分達は、命にかかわらないだけでも幸せだ、だから、みんなを応援している、と。

はーちゃんは、いつもこう言っているそうだ。
「今の人生で、病気とたたかったり、病気の人の気持ちが分かる人たちは、
魂が磨かれている。その人たちは、今度生まれてくるときは、健康な身体で生まれてくるんだ。」

こんなことを、どれだけの人が考えるだろう。
わずか9歳の男の子の言葉だ。

「天国の特別な子ども」
友人からもらった、あの詩が、ふいに頭に浮かんだ。
そっか、私は、この病院で、
何人もの天国の特別な子ども達と一緒に半年間過ごしたんだ。
そして、天国の特別な子どもの親として選ばれた皆さんとも。

自分は、力が生まれてこの一年で、少しは魂が磨かれたんだろうか?