みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

「かわいそう」って言うな!

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入院してはや4ヵ月半だ。この病棟に来て3ヵ月半。
まだ退院のめどはたたないので、この病棟では長期滞在者の一員である。

外科、整形外科病棟なので、軽い手術等の子ども達は2泊3日で帰っていく。
うちは、ずっと観察室で、他の人とは隔離状態だったし、
この病棟に来た当初はそんな余裕ないほどシビアな状況だったので、
周りとはほとんど関わりなかった。
でも、だんだん力も落ち着いてきて、
私も病院付き添い生活に慣れてきたので、
入院しているほかのみんなのこともようやくわかってきたところ。

ほとんど個室状態ではあるが、
観察室という部屋柄、急患や、術後観察を要する子ども達がたまに同室になる。
そんな方とは、入室した時点はかなりシビアなので、なかなかすぐには打ち解けられないが、
部屋を移って行く位には、お話ができる程度になり、ちょっとうれしい。
よくなっていく様にも、頑張れ!と応援できる。

そんな中、初めて、別室から声をかけてくれたのが「けんちゃんママ」。

けんちゃんママとは、挨拶する程度だったが、
いつか、ふいに、「ちーくん、昨日の夜元気でしたよねー。」
と声をかけてくれたのが最初だった。
観察室は、カーテンも開けっ放しで誰でものぞけるので、
みんな力のことは名札で知っていても、
ちーくん、と呼ばれていることまで知っているってことは、
いつも気にかけてくれてたってことだ。

けんちゃんはダウン症で、心臓をはじめ、いろんな臓器について、手術している。
現在2歳のけんちゃん、とっても笑顔が素敵なぼくだ。

先日最後の手術をして、
経過もよく、もうすぐ退院らしい。
他県に住むけんちゃん、退院したら、会えんよなー。

ママとちょっと長く話した。
力の染色体異常のことは、もう話している。
けんちゃんのダウン症も染色体異常だから、広義では同じと言っていいと思う。
生まれてきてのことや、
長期入院生活のことを、いろいろと話した。
ママは、とっても気さくで明るく、けんちゃんをどこにでも連れて行く。
でも、やっぱり、思うところはたくさんあるんだ。ただ、それを出さないだけ。
感覚がとても似てるよなあ、と思った。

話していて、最も共感したのが、
「この子、かわいそうね。」
と言われることにムカつく、ということだった。

そうそう、私もそうやったし、今もそうよ。

「かわいそう」
って、とっても酷い言葉だと思う。

「かわいそう」って言われる時には、
「普通に生まれんでかわいそう。」
とか、
「これから大変やろう、かわいそう。」
とか、そんな意味がくっつくのだ、だいたい。

つまり、言っている本人は、
同情や哀れみを持って、こっちを下にみているってことだ。
自分は健康でよかった。普通ってことは幸せだ、いいでしょう?
と、あからさまには思ってないだろうが、
そんな気持ちの裏返しで、こんな言葉が発してないか?

力が生まれて、いろいろが分かった時、
夫は泣いて、憔悴して、いつもの持ち上がらん状態で、ひげもそらずにどんよりしていた。
私は、その姿にむかついてしまった。
「かわいそうな親とか思われたらいかん!同情されるような姿を見せたらいかん。
そのほうが、力が「かわいそう」やろ。
力君のお父さん、かっこいいね、と言われるように、しゃきっとせんかー。」
と叱咤していた。
もちろん、私も、いつもは、産後ゆるんでも、まあいいやん、産後やし、と気を抜いていたのだが、
今回ばかりは、相当気合が入っていた。
同情される隙は作らん!で今に至る。

それでも、今でも、かわいそうに、と言われることは多い。
そのたびいつも、おんどりゃー、と思っている。

でも。
これも、当事者になったからわかることかもしれんね、とけんちゃんママと話した。
もしかすると、
今まで、私達も、
同じように、誰かを傷つけていたのかもしれん。