みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

術前説明

イメージ 1

力、朝から手足を動かして元気。

昨日またストーマからの腸液排出量が多く、
手術前ということもあって、注入がまたストップになっていた。
午前中、ずっと起きていたが、いつもよりも痰が多い。
何度もとってもらった。
眠いけどぜこぜこいうので寝はできない。
でも、機嫌も悪くなく、一人で手遊びして時間を過ごしていた。

昼過ぎにふと眠ってしまった。それからぐっすり。

今日は夕方から術前説明を夫とふたりで聞くことになっていた。
その間のお姉ちゃん達の居場所をいろいろと考えたが、
おばあちゃんに病院まで来てもらって、
病棟の食堂でご飯を食べながら待ってもらうことにした。
いつものごとく、どっさりお弁当を作ってきてくれて、
まるで遠足のよう。
下のお姉ちゃんを迎えに行き、上のお姉ちゃんが帰宅してすぐに一緒に病院に戻ってきたが、
約束の時間ぎりぎりだった。

術前説明では、いつものように、
手術内容、図解、今までの検査資料、合併症や手術リスクなどのお話があり、
質問を受けてもらった。
何度か開腹しており、内臓癒着があるため、
それをはがすことが、今回の手術で最も時間を費やすところ。
はがすだけで3~4時間かかることもある、とのことだった。
腸と腸をつなぐことは、1時間程度らしい。
ストーマになっている胃側の腸と、大腸側の腸の口径差が2倍以上ありそうなので、
うまくつながなければ、吻合不全になり、腸液が漏れ腹膜炎になる。
吻合不全は、今回、可能性として考えられる最も大きな合併症である。
ちゃんとつながったとしても、つなぎ目が収縮したり、
腸が急に細くなっていることが原因で、腸液が上手く流れない可能性がある。
流れそうにない場合は、
虫垂から吻合部の渋滞部分に管を通して外部に排出する、
小さなストーマ状態の虫垂瘻を作らねばならないかもしれないらしい。

リスクとしては癒着をはがす時の出血、
MRSAがまだ少し残っていることや、ストーマの排液による感染、
腸閉塞の可能性もある。

前回と同様、輸血の可能性もあるので、同意書を書いた。

今回の手術が成功して初めて、スタートラインに立てる。
無事、手術から戻ってきてくれて、
腸がうまくつながってくれれば、まず第一関門突破。
次に、食べ物を入れて、ちゃんと消化吸収できるようになり、
食べ物だけで、体重がどんどん増えていけば、退院のめどが立つ。
外科医は、手術無事成功した後、おそらく数ヶ月から1年くらいは、とのことであった。

力は、心臓の障害もある。心電図、エコーでは手術に支障なし、ということであったが、
前回の手術より、徐脈傾向は継続中である。血圧も、どちらかというと低め。

説明してくれた外科医、
いろんな質疑応答の最後に、こう言った。
「力君は、泣かない、ですよね。この月齢なら、もっと大泣きしてもいいはずなのですが、
処置時も、おとなしくしている。身体も小さいし、
元気がある赤ちゃん、という方ではないと思います。」
と言われた。

そう、力は、全然と言っていいほどむずからない。最も赤ちゃんらしくないところだ。
泣いても一瞬だけ。あとは悟りを開いたように、おとなしくしている。
今、気管切開で声が出せないことも、
おとなしいという印象に拍車をかけるところはあるだろうが。

何百人も赤ちゃんをみているであろう医師たち、看護師たちの目には、
きっと力は、はかなく、うつっているんだろうなー。

どうにか3度の手術は乗り越えた。
今まで呼吸困難の危険にさらされたことも数度。
力はこれからも、
生死の境目の平均台を、ずっとバランスとって歩いていかなといけないのかな?

4度目はあさって午後。
力の運と、元気になりたい!という彼の意思に賭けよう。