手術の次の日はお姉ちゃんの保育園卒園式だった。
卒園式が終わり、打ち上げの前にICUに面会に行った。
電話が鳴らなくても、会いに行く前はものすごく緊張する。
いつもは小汚い私たち、
卒園式終わってその足で行ったので、
病院には不釣合いのきちんとした格好。ICUでちょっと浮いていたような気が。
外科医が2人待っていた。
一人は昨日の晩も当直だったので、ずっと様子をチェックしていてくれたとのこと。
力は、何だかぐったり目をつぶっていた。
血圧、呼吸数、心拍、など、安定しているようだ。
炎症の数値は手術前5から7.95と上がってはいるものの、
手術後の反応の範疇ではないか、
手術の炎症なら、数値がこの2,3日でピークになるので、
どんどん上がる、又は、極端に上がるなどの変化を見せれば、
腹膜炎の可能性がある、とのことだった。
また、心配なこととして、
2回開いた傷、再度閉じたが、少し赤くはれてきているらしい。
今は身体も弱い状態なので、傷を修復する力が低下している上、
残していた小腸が破れていたことで、菌が増殖したことも要因の一つ。
傷が膿むと、一度糸を外して、菌が繁殖しないように消毒し、
修復する力が戻るまで、そのまま傷を開きっぱなしにしておくそうだ。
いろんな意味で、治癒まで時間がかかるしリスクもある。
力は昨日から鎮静剤などで眠らされれいるとのことだったが、
見た感じ、元気がなかった。心配で心残りながらICUを後にした。
まだ手術から24時間しか経ってない。まだわからん。
次の日、日曜日。
また電話かかってこんかったね、よかったねー、といいながら、午後面会に。
車に乗る前に、ぐらぐらして取れそうになってたお姉ちゃんの前歯がぽろりと取れた。
卒園式の次の日に取れるとはねえ。
お姉ちゃんたち子どもはICUに入れないので、
待合室で二人で待てる?と聞くと、いやだー、と言っていたが、
じゃあ、お菓子一つでどうだ??
と聞くと、待っとくー、とコロリ。
幸い他の人がいなかったので、
待合室で、2人に、おにぎりとお茶と、行きがけジャスコで買った、
ふたりはプリキュアスプラッシュスターのおまけつきお菓子を与え、
ICUに入った。
力、今日は目を覚ましていた!またゴム乳首を一生懸命吸っていた。
おおー挽回しているぞ。
顔色も良くなっていたし、目もしっかりしていた。
ちょっと寄り目っぽかったけど。
今日は外科医、2番手が私服で待っていた。
おしっこが出だしたらしい。
炎症反応も誤差範囲ながら昨日より少し低下(7.95→7.75)して、いい傾向とのこと。
ただ、やはり、傷口が赤いらしい。
最初の手術の後に、縫った傷が膿むと、中への影響はないが、かなり時間がかかる、
と、執刀医が言っていたことを思い出した。
この山を越えてからの、見通しを聞いた。
順調に回復したらまず小腸をつなぐ手術をやる。
次に、つないだ小腸が機能するようになるまで、様子を見ながら点滴で栄養を補給する。
ちゃんと消化して、下痢状でない便が出るようになってきたら、
ミルクを入れ、又同じく、便の状態を見ながらだんだん点滴を少なくしていき、
最後は点滴なしで栄養を吸収出来るようになる、という過程。
データではその間、4ヶ月から4年と、いろいろなケースがあるそうだが、
点滴背負って退院して、家庭で過ごす例がある、と聞いていたので、
そのこと聞いたら、
外科医、
「点滴持って帰った方は、今8歳で、一生点滴が外れない、と診断された患者さんです。
自宅での点滴処置は、装置等の問題やトラブルもあるので、
外れる可能性がある場合は、
大体1年過ぎたくらいを目安に、いろいろな場合を考えていく、ということが多いです。」
と言われた。
つまり、力、多分この後、約一年は入院生活が続く、ということだろうと、理解した。
手術前では入院予定2ヶ月でも、
お姉ちゃんたちのいる生活を保つことはしんどいなあ、と思っていたが、
比べ物にならない長丁場になりそうだ。
でも、まだ山を超えたわけではない。そんな土俵に乗ってないぞ。
山を越えて考えよう。次のことは。
お姉ちゃんたちが待っていると思って急いでICUから出てきたが、
他の患者さんの兄弟と思われる男の子2人と仲良しになって遊んでいた。
ああよかった。泣いてるかと思ったよ。
子どもはたくましいね。
帰る車の中で夫が言った。
「力、あいつは、すげエヤツだ。」
「そうよ。私の血が流れる子どもやもん。絶対挽回できるよ。」
と私。