みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

お姉ちゃんのユウウツ

お姉ちゃんたち、頑張っている。
でも、こんな生活が一ヶ月。かなりフラフラ揺れているのは確か。

保育園の園長先生から、今年度に入る前に、
一番上のお姉ちゃんのことに対して、
「年長さんの一年は、思春期と同じ心の揺れが見られます。しっかりと見てあげてくださいね。」
と言われた。
一年間を通じて、その言葉が思い出される時が何度もあった。

先日、園行事で夜遅くなった。
そのま夫は病院へ、私が娘たちを連れて家に帰ろうとしていたが、
その日は、私、疲れからかものすごい頭痛に見舞われ、
早く帰りたい、早く家の布団で寝たい、とそればかり思っていた。
お姉ちゃんたち2人が、なんだかんだと膝にまとわりついていたが、
真ん中のお姉ちゃんをあやしている時に、
上のお姉ちゃんが、いきなり私の頭を叩いた。
具合悪くて余裕もなかったし、頭叩かれてムカムカっときて、
私はかなり激しくお姉ちゃんを怒った。
「なんで叩くとっ?」
「だって、いやな気持ちがしたもん。」
「なんでいやな気持ちになったと?」
「わからん。」
らちがあかなかった。

そのまま帰り、寝かせて、いかんかったなあー、と思い返して私も寝た。

翌日、少し寝たからか私もスッキリした。
朝、登園する時に、お姉ちゃんにまた聞いてみた。
「昨日、何でいやな気持ちがしたと?」
「だってね、だってね、お母さんに抱っこしてもらいたかったと。」

ああそうか。
やっぱりお姉ちゃんも、子どもだ。
ちゃんと抱っこしてあげなきゃ。

高校時代にはまっていた銀色夏生の詩を思い出した。
はっきり覚えてないけど多分こんなフレーズ。
-理由もなく泣きたいとか、よく言っていたけれど
-理由がないことなんかひとつもなかった。

子どもたち、それは赤ちゃんであっても、
訳が分からん行動なんて一つもない。

彼らがやることには、
必ず理由がある。