その日は午後から、療育センターで力の座りものの調整と打ち合わせがあったため、早帰り。
打ち合わせ後は、保育士の先生方や、お世話になった看護師さんと少々話しこんでしまい、
帰宅は注入時間ぎりぎりになってしまったが、力は終日元気で、夜はなかなか寝ずに遅寝。
今日は朝から晴れ、力は遅寝した割には、かなり早起きしていた。どうもおしっこがしたかったらしい。
おまるには間に合わなかった。
今日はプールの日だが、もうひとつ、力にとって大きなイベント、「スクールバス初乗車」!
昨年度末からぼちぼち担任の先生に相談していたのだが、
先月、体調が安定しているので、帰路だけでもスクールバスに乗車できるか検討してもらうよう、
学校側にリクエストしていた。
力は気管切開をしているので、吸引、という医療行為が都度ある。
現時点では、当地の特別支援学校のスクールバスには、バス介助員さんが乗車するだけで、
医療的ケアをできるスタッフはいない。
なので、吸引頻回な状態では、乗車することは難しいが、
力は就学後から、どんどん吸引回数が減り、ここ最近では、
自宅で一日2,3回しか吸引しなくてもいい日がルーティンに出てきてるほど。
また、学校生活にも慣れて、いろんなお友達と触れ合うことの楽しさも実感してきている。
乗り物自体は問題ないし、座位姿勢も安定中。いきなりけいれん発作や、いきなり嘔吐、というのは、
通常登校できている時の体調ならほぼ考えられないため、
体調良好と判断できた時のみでも、帰路、乗ることができれば、
力の「居場所」がもうひとつ増えるし、加えて、私の送迎負担はずいぶん軽くなる。
下校後の午後の送迎は、
迎えに行って帰宅するまで、約1時間半弱、運転しっぱなしなのだが、私の最も眠い時間帯なので、
居眠り防止グッズをいくつか駆使してみたものの、効果はほぼなく、
睡魔と闘いながらの運転に、かなりの危機感を持ち始めていたここ最近。
担任の先生方も心配してくださり、学校側もそんな部分を配慮いただいたのだろう。
前向きに検討してくださることになり、
ちょうど、というか、タイミングよく(悪く?)Tチューブ抜去エピソードもあったりしたので、
主治医に加え、耳鼻科の主治医と両方、学校からご足労いただいて意見を聞いてもらい、
それを受けて、学校での検討委員会を経て、
帰路、乗車路線の最初の停留所まで、試乗してみて判断しましょう、ということになった。
試乗は今週月曜日。
先週木曜まで不調だったので、今回は無理かも、と思っていたのだが、
ここは本番男の力、週末から驚異の回復。月曜の試乗ができるほど体調改善しトライできた。
教頭先生と、自立専科の先生と、担任の先生に乗車してもらい、
私も一緒に乗って、試乗開始。
力はもともとからこの座席に座っていたかのように、
リラックスした面持ちで、とても楽しそう。
前に乗ってる車椅子の上級生は、
しきりに後ろを振り返って手を振ってくれたり、
後ろに座っている、面倒見がいいおにいちゃんは、
何度も話しかけたりしてくれて、ウェルカムな車内。
二人のバス介助員さんも、とてもやさしくしてくれて、
力は少し恥ずかしげなれども、
うれしそうに、40分の道のりを、退屈することなく乗っていた。
体調良ければ吸引要らず、こんな状況から判断して、
私たちも、バストライに至ったのだ。
緊張のあまり不安定になる、なんてことは、
ほとんど考えられなかったが、案の定、いつもの横着な力のまま、
お天気にも道路状況にも恵まれて、ほぼ定刻に停留所に到着。
試乗は無事、安全に乗車できそうだ、という判断をいただいて、終了。
何度かテストされるのだろう、と思って覚悟はしていたが、力の本番力も相まって、乗車可、となり、
びっくりだった。
ちなみに、指定の停留所は、路線の最初の停留地で、
自宅から車で20分ほどかかる、アクセスが結構不便な場所。
バス試乗は、
私は、バス始発に間に合うように自力で学校に行き、力とバスに同乗し、停留地が徒歩圏内でなければ、
さらにそこから車に乗せて連れ帰らねばならない。
停留地に車を置かせてもらえるように頼めるのかなあ?
しかもそこから自力で学校に行くのは大変だなあ、それともタクシーを利用するか?などなど、
どうしたもんかな、と頭悩ませていたら、
快くじいさんばあさんが手伝ってくれることになった。
じいさんばあさんがまずうちに来てくれて、
(うちまでバスで1時間ほどかかる処に住む彼らはいつもフットワーク良く助かる)一緒に車で学校に行き、
私はバスに同乗して、じいさんたちは、そのバスを追走する。
停留地で合流し、力と私をピックアップ、というわけ。
力が乗れるようになるまで、いつでも、何度でも、手伝うよ、と、言ってくれていたのだが、
あっけない合格で、俺らの出番少なかったなあ、と二人笑って帰って行った。
力は帰宅後も余裕しゃくしゃく、
もしかすると、バスに乗ったぜ!という高揚感か、
ご機嫌で過ごしていた。
上の写真と見比べれば、バスの時は少々緊張もあったのかもな。
翌日は定期受診、その次の日は療育センターで打ち合わせのため早帰りしたので、
今日が本当に、初めてのスクールバスの日になった。
昨夜の夜なべ君は、もしかするとバスの緊張もあったのだろうか。
プールもあり、トマトの収穫もあり、運動の時間もあり、盛りだくさんの後の初バス。
私は、バスに乗れるかの体調を判断する、担任の先生との約束の時間を過ぎても、
まだ電話かかってくるんじゃないかとドキドキして、いつでも出かけられるよう待機していたが、
いつのまにか転寝していた。
定期試験中で早く帰ってきていたおねえRに、
「ちょっと、おかーさん、3時過ぎとうよ!ちーくんのお迎えは?」
と声かけられて、目が覚めた。(もともとちゃんと、アラームはつけてました)
いつもなら14時半には出かける準備をしているのだ。
うちから停留地まで、大きく3ルート位あり、一番よさげなルートで向かったが、意外に時間かかった。
やっぱり20分。
停車予定時間よりも少し前に到着すると、担任の先生が既に待っていた。
バスには念のため、もう一人の担任の先生が乗ってくれているそうだ。
予定を大きく遅れず、バス到着。
バス乗車直後に、ずるずる分泌物があったらしく、まだ乗ってない子がいたため、
イレギュラーに看護師さんに吸引してもらって、乗車中は問題無し。
眠そうだったが寝るのはもったいない、と、頑張って起きて乗っていた、とのことだった。
楽しく乗っていたようだ。本当によかった。
帰路の車内で、力に、バス楽しかった?
と尋ねるとこんな顔。
んふふ、内緒、
と言っているのか、いないのか。
帰宅後はさすがに疲れた様子もあったが、
機嫌よく夜まで過ごし早寝した。
いつものお迎え時間よりも1時間ほど遅く出かけられた。
たった1時間、と思われるかもしれないが、
私にとっての1時間は、めちゃくちゃ大きい。貴重な貴重な時間だ。
お迎え後すぐに注入、夕食準備して、力を風呂に入れ、夕食、寝かせたあとは、
夕食片づけ、器具等消毒作業して、洗濯、夜中の注入、と続くのだが、
その、夕方から就寝までの一連の流れが、とても楽に感じられた。
まだ一回しか乗ってないので、これからどうなることやら、だが、
私たちにとっては大きな一歩を踏み出した、と感じている。
これも、私たちのリクエストを受け、前向きに進めてくれた多くの皆さんのおかげだ。感謝したい。