みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

力、スクールバスに乗る!

昨日は力、眠そうだったが登校したので、私は久しぶりに髪を切りに行くことができた。さっぱり。

その日は午後から、療育センターで力の座りものの調整と打ち合わせがあったため、早帰り。
打ち合わせ後は、保育士の先生方や、お世話になった看護師さんと少々話しこんでしまい、
帰宅は注入時間ぎりぎりになってしまったが、力は終日元気で、夜はなかなか寝ずに遅寝。


今日は朝から晴れ、力は遅寝した割には、かなり早起きしていた。どうもおしっこがしたかったらしい。
おまるには間に合わなかった。

今日はプールの日だが、もうひとつ、力にとって大きなイベント、「スクールバス初乗車」!


昨年度末からぼちぼち担任の先生に相談していたのだが、
先月、体調が安定しているので、帰路だけでもスクールバスに乗車できるか検討してもらうよう、
学校側にリクエストしていた。

力は気管切開をしているので、吸引、という医療行為が都度ある。
現時点では、当地の特別支援学校のスクールバスには、バス介助員さんが乗車するだけで、
医療的ケアをできるスタッフはいない。
なので、吸引頻回な状態では、乗車することは難しいが、
力は就学後から、どんどん吸引回数が減り、ここ最近では、
自宅で一日2,3回しか吸引しなくてもいい日がルーティンに出てきてるほど。

また、学校生活にも慣れて、いろんなお友達と触れ合うことの楽しさも実感してきている。
乗り物自体は問題ないし、座位姿勢も安定中。いきなりけいれん発作や、いきなり嘔吐、というのは、
通常登校できている時の体調ならほぼ考えられないため、
体調良好と判断できた時のみでも、帰路、乗ることができれば、
力の「居場所」がもうひとつ増えるし、加えて、私の送迎負担はずいぶん軽くなる。

下校後の午後の送迎は、
迎えに行って帰宅するまで、約1時間半弱、運転しっぱなしなのだが、私の最も眠い時間帯なので、
居眠り防止グッズをいくつか駆使してみたものの、効果はほぼなく、
睡魔と闘いながらの運転に、かなりの危機感を持ち始めていたここ最近。
担任の先生方も心配してくださり、学校側もそんな部分を配慮いただいたのだろう。
前向きに検討してくださることになり、
ちょうど、というか、タイミングよく(悪く?)Tチューブ抜去エピソードもあったりしたので、
主治医に加え、耳鼻科の主治医と両方、学校からご足労いただいて意見を聞いてもらい、
それを受けて、学校での検討委員会を経て、
帰路、乗車路線の最初の停留所まで、試乗してみて判断しましょう、ということになった。

試乗は今週月曜日。
先週木曜まで不調だったので、今回は無理かも、と思っていたのだが、
ここは本番男の力、週末から驚異の回復。月曜の試乗ができるほど体調改善しトライできた。

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教頭先生と、自立専科の先生と、担任の先生に乗車してもらい、
私も一緒に乗って、試乗開始。

力はもともとからこの座席に座っていたかのように、
リラックスした面持ちで、とても楽しそう。

前に乗ってる車椅子の上級生は、
しきりに後ろを振り返って手を振ってくれたり、
後ろに座っている、面倒見がいいおにいちゃんは、
何度も話しかけたりしてくれて、ウェルカムな車内。

二人のバス介助員さんも、とてもやさしくしてくれて、
力は少し恥ずかしげなれども、
うれしそうに、40分の道のりを、退屈することなく乗っていた。

体調良ければ吸引要らず、こんな状況から判断して、
私たちも、バストライに至ったのだ。
緊張のあまり不安定になる、なんてことは、
ほとんど考えられなかったが、案の定、いつもの横着な力のまま、
お天気にも道路状況にも恵まれて、ほぼ定刻に停留所に到着。

試乗は無事、安全に乗車できそうだ、という判断をいただいて、終了。
何度かテストされるのだろう、と思って覚悟はしていたが、力の本番力も相まって、乗車可、となり、
びっくりだった。

ちなみに、指定の停留所は、路線の最初の停留地で、
自宅から車で20分ほどかかる、アクセスが結構不便な場所。
バス試乗は、
私は、バス始発に間に合うように自力で学校に行き、力とバスに同乗し、停留地が徒歩圏内でなければ、
さらにそこから車に乗せて連れ帰らねばならない。
停留地に車を置かせてもらえるように頼めるのかなあ?
しかもそこから自力で学校に行くのは大変だなあ、それともタクシーを利用するか?などなど、
どうしたもんかな、と頭悩ませていたら、
快くじいさんばあさんが手伝ってくれることになった。

じいさんばあさんがまずうちに来てくれて、
(うちまでバスで1時間ほどかかる処に住む彼らはいつもフットワーク良く助かる)一緒に車で学校に行き、
私はバスに同乗して、じいさんたちは、そのバスを追走する。
停留地で合流し、力と私をピックアップ、というわけ。
力が乗れるようになるまで、いつでも、何度でも、手伝うよ、と、言ってくれていたのだが、
あっけない合格で、俺らの出番少なかったなあ、と二人笑って帰って行った。

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力は帰宅後も余裕しゃくしゃく、
もしかすると、バスに乗ったぜ!という高揚感か、
ご機嫌で過ごしていた。
上の写真と見比べれば、バスの時は少々緊張もあったのかもな。

















翌日は定期受診、その次の日は療育センターで打ち合わせのため早帰りしたので、
今日が本当に、初めてのスクールバスの日になった。

昨夜の夜なべ君は、もしかするとバスの緊張もあったのだろうか。
プールもあり、トマトの収穫もあり、運動の時間もあり、盛りだくさんの後の初バス。

私は、バスに乗れるかの体調を判断する、担任の先生との約束の時間を過ぎても、
まだ電話かかってくるんじゃないかとドキドキして、いつでも出かけられるよう待機していたが、
いつのまにか転寝していた。
定期試験中で早く帰ってきていたおねえRに、
「ちょっと、おかーさん、3時過ぎとうよ!ちーくんのお迎えは?」
と声かけられて、目が覚めた。(もともとちゃんと、アラームはつけてました)
いつもなら14時半には出かける準備をしているのだ。

うちから停留地まで、大きく3ルート位あり、一番よさげなルートで向かったが、意外に時間かかった。
やっぱり20分。
停車予定時間よりも少し前に到着すると、担任の先生が既に待っていた。
バスには念のため、もう一人の担任の先生が乗ってくれているそうだ。

予定を大きく遅れず、バス到着。
バス乗車直後に、ずるずる分泌物があったらしく、まだ乗ってない子がいたため、
イレギュラーに看護師さんに吸引してもらって、乗車中は問題無し。
眠そうだったが寝るのはもったいない、と、頑張って起きて乗っていた、とのことだった。
楽しく乗っていたようだ。本当によかった。

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帰路の車内で、力に、バス楽しかった?
と尋ねるとこんな顔。

んふふ、内緒、
と言っているのか、いないのか。

帰宅後はさすがに疲れた様子もあったが、
機嫌よく夜まで過ごし早寝した。









いつものお迎え時間よりも1時間ほど遅く出かけられた。
たった1時間、と思われるかもしれないが、
私にとっての1時間は、めちゃくちゃ大きい。貴重な貴重な時間だ。

お迎え後すぐに注入、夕食準備して、力を風呂に入れ、夕食、寝かせたあとは、
夕食片づけ、器具等消毒作業して、洗濯、夜中の注入、と続くのだが、
その、夕方から就寝までの一連の流れが、とても楽に感じられた。

まだ一回しか乗ってないので、これからどうなることやら、だが、
私たちにとっては大きな一歩を踏み出した、と感じている。
これも、私たちのリクエストを受け、前向きに進めてくれた多くの皆さんのおかげだ。感謝したい。

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