みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

副籍制度で校区の小学校の入学式参加

好調の波は続いているが、好調すぎて夜寝なくなった。またもや。
体調はよいが、夜遅くまで騒いでいるので、入学式前にダウンしてはいかんと、
週末から睡眠導入剤を少々使いつつ、リズムを整えようとはしている。ぼちぼち。
 
今週は入学式三昧だ。
まずは、長々と春休みだったおねえNの中学校の入学式。
午前中、ヘルパーさんにお願いして、父母とも参加することができた。
ぶかぶかの制服の新一年生は皆、少々緊張の面持ちで、新しい世界の住人となった。Nも。
 
今日は、力が、校区の小学校の入学式に、「副籍制度」にて、参加した。
「副籍制度」というのは、ざっくり言えば、
力のように、校区内の小学校に通わない子が、地域の子どもとして認識してもらうための取り組み、
というところ。
 
車で何十分もかかる他地域の小学校に通うことになる力は、
特に体力や体調の面から、子ども会にも自治会のイベントにもほぼ参加できない。
 
親である私も、特に夫が不在だったこの数年間、
力に関することで、家にいなかったり、居ても軟禁状態だったりして
PTA等、地域と関わり合うことがなかなかできずに、他の方々との親交が広がりにくかった。
 
うちのことを知っていてくださる周りのみなさんのご厚意のおかげで、関わりを絶たずに、やってはいるが、
力の体調もだんだん落ち着き、就学と、「副籍制度」というしくみは、
引きこもりがちにならざるを得ない、うちのような家庭のことを知ってもらういい機会ではないかと思った。
 
特別支援学校で、2月に「副籍制度」についての説明を受けた。
副籍、と言っても、基本的には、入学式に参加、のみ。
まあ、ぶっちゃけ、当市で採り入れられたばかりの制度である現時点では、
参加者と小学校、双方に負担が最も小さい案、というレベルなのだと思う。
また、事前に参加不参加の意思表明をせねばならない、とのこと。
特別支援学校と校区の小学校での打ち合わせがあり、また、保護者たる私も事前打ち合わせが必要。
 
夫は賛成だったが、
おねえたちが、難関だった。
 
おねえたちは、校区の小学校に通う、いわば、ばりばりの当事者だ。
彼女らに話をすると、一様に黙ってしまった。
すぐに、はっきり「嫌だ」と口を開いたのは、R。
Nは既に小学校は卒業してるので、やや客観的だったが、やっぱり違和感があると言う。
何でか聞いてみると、
学校の特別支援学級の子たちが、
いじめられたり好奇の目にさらされているのを目の当たりにして、
嫌な気持ちになったことが多々あるから、とのこと。
 
そっかー、でも、入学式に出るだけやし、今のところ、通うことになる、って予定はないけんね。
こんな子が近くにおるよ、って、わかってもらうのも大事じゃない?
ちーくんを隠して暮らすこととか絶対できんやん。
 
やっぱり2人とも黙ってしまった。
そして、R、
だってさ、ちーくんのこと、Rの弟、ってわかって、何か言う人が絶対おるもん。
 
力のことも、だが、自分たちのことも(が、かも?)、ってこと。
 
兄弟児についての悩み事、というのは、この子らが大きくなるにつれて、どんどん変わっていくことを、
はっきり実感した。
 
おねえたちのことは保留して、とりあえず参加で提出した。
4月に入って、校区の小学校で打ち合わせがあった。
 
打ち合わせに参加したのは、校長、教頭、特別支援学級の担任教師、
それに、通うことになる特別支援学校の担当の教師の方と、私。
 
年度初の忙しい中で、集まっていただいて恐縮だった。
皆さんとても親身だった。入学式当日の細かい段取りを詰める。
幸い、娘たちの学校なので、たびたび訪れることはなくとも、私も勝手知ったる場所だ。
車を乗り入れ駐車場を確保してもらった。
はじまるまで保健室で待機させてもらい、バギーで参加となった。
入退場と席は、特別支援学級の最後尾。
40分ほどの式のみの参加。力は端っこの一番後ろで、私が横に座って待機。何かあればすぐ離席する。
 
このような段取りと打ち合わせの様子を、帰っておねえたちに説明した。
Nは、式だけならいいんじゃない?との顔になっていたし、
在校生であるRは、まだ思うところ有な顔でもあったが、
うん、わかった、ちーくん行っておいで、と言った。
 
打ち合わせの前まで、
おねえたちの顔を思うにつけ、
入学式当日に参加する程度の副籍制度は、
大人の自己満足の要素が大きいのではないかと、悩ましいところではあった。
だが、今まで兄弟児が数年間お世話になった、
もし力が元気に生まれてきたのならば通うことになっていたかもしれない小学校の入学式に、
参加させてやりたいと思うことは、純粋な親心でもある。遮られるのも変だ。
 
多分そんな母の吹っ切れ感が伝わったのだろう。おねえたちも、賛成してくれて、めでたく当日。
 
あいにくの大雨。ここまで降らんでもよかろーもん、というほど。
 
お約束の時間ぎりぎりに到着し、ずぶぬれで校舎へ入った。
すぐに列に加わり、入学式へ。
バギーで参加する生徒と親を、やっぱり、不思議そうな、好奇な目がたくさんだった、と思う。
 
式は大人の話と、恒例の新6年生の学校紹介だしもの、そして校歌。
夜なべ君は、案の定、大人の話の時は眠っていたが、
こどもたちのだしものや歌で起きて、拍手のようなしぐさをしたり、きょろきょろ見回したりして、
思ってたよりもしっかり参加した感があった。
吸引もなんとか無しで済んだが、ややずるずる言っていたので焦った。
また大きな声を出しそうな様子が見られたので、
私からスピーチバルブを撤去されたが、めげずにちょこちょこ足をふみならしたり、手を振ったりして、
結構余裕もあった。
 
無事に退場できて、校長、教頭先生には、頭をなでてほめられたし、
地域の、よく声をかけてくださる方には、よかったね、参加できて、ホントに良かった、と言われてうれしかった。
 
イメージ 1さんざん悩んでこの日を迎えた私は、
入退場の時のたくさんの目が注ぐ中で、どんな顔をしていいのやら、
かなり気後れしてしまった。
また式の間中、
泣きたいような嬉しいような、いろいろな感情がぐるぐるとうずまいて、
少々しんどかった。
でも、皆さんのご尽力のおかげで無事に参加できたことは、
本当によかったと思っている。
ありがとうございました!
 
式後、すぐに帰宅したが、力はしばらくすると眠ってしまった。
そのまま、日中は眠ったり、ぼんやりしたり。
気疲れしたのか、連日の夜なべがたたったのか。
明日が本当の入学式本番ですので、よろしくお願いいたしますぜ。
 
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 →名札ももらったよ!