みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

クリスマスコンサート

月火まで絶好調だったのに、水曜朝から不調の波に入ってしまった力。
結局、園には月曜のクリスマス会の日しか登園できずじまい。
週後半は鼻水は落ち着いたが、咳き込みと痰で、吸引回数も多い。
顔色は悪くなく、喘息様でもない。食事もうまく入っている。
 
だから、なんでなかなか体調上向かないのだろうかと、いろいろと勘繰って心配になりつつ週末になった。
 
週末は今年最後の家族大イベント、クリスマスコンサート、に、家族全員で参加することになっていた。
おねえたちがお世話になっているピアノの先生方の企画で、
素敵なチャペルで少人数での音楽会。
 
おねえたちは、今年はコンクールに全く出なかったため、今年のピアノの習熟度チェック、という意味ももちろん、
彼女らと同じようにピアノなどを習っている方々と、腕を披露しあう場を経験することの意味が大きい。
 
秋の運動会が終わったくらいに、持ち曲2曲を選択する際に、
1曲は各自ソロ、もう一曲はアンサンブル、として家族が何らかの参加をしよう、ということになった。
 
私はへたっぴいながら、ピアノをしていた。
夫は、私よりかはずいぶん上手にエレクトーンを弾く。
だから、とりあえず親がアンサンブル要員として入ろう、という話から、
それなら、力も参加させようよ、という話に発展した。
力は今年は調子いいし、せっかくの家族イベント。力だけ仲間はずれなんてだめでしょ。
 
と決まると、お調子者のわが家族、俄然テンションあがり、ちーくん参加計画が始まった。
 
おねえたちの選択曲から考え、力がなんとかできそうで、入ってもよさそうな楽器として、
ハンドベル、リングベル、となった。
ハンドベルは園のリハビリ用ではあるが、小さくてとても素敵な楽器を借りることができたので、それに決定。
リングベルは、最終段階になって力の演奏楽器として浮上し前日に購入して準備。
 
おねえたちは、それぞれ、その曲に向かってまい進すればいいのだが、
問題は私。
人前でピアノ弾くなんてもう15年くらいやってないし、もともとが、へたっぴい。
ママが弾くといいよね!と先生に言われた時は、ぎょえー、と思った。
が、力が出ることになって私も頑張らにゃ、と思い直し、練習開始。
しかし昔と違い、今は自由に練習できる時間は皆無。唯一、力がぐっすり寝た夜中1時頃から少しだけ。
別部屋にある電子ピアノにヘッドフォンして、一回弾いては力をみに戻り、という、繰り返しで、
練習するという状況には程遠い。
担当曲が3度もかわった!こともあり、日も押し迫ってくると、娘たちに迷惑をかけないよう、
曲を中断しないこと、を主に、考えを切り替えた。最後まで止まらずどうにかつなごう。
 
また、夫も問題である。
私より弾けるといっても、音楽に無関係な普通の人なので、練習せねば弾けない。
しかも、音が鳴る楽器を居宅に持ってないのだ。家に戻ってくるのは、前日の午後。
苦肉の策で、娘の鍵盤ハーモニカを宅急便で送った。音の確認くらいはできるだろう、と。
 
こんな工夫な毎日を、当日に向けてぼちぼちとやっていたが、今週のこの力の不調の波だ。
前日の土曜は特に、ずーっとどんより眠り、起きれば咳して吸引、と、これはかなりまずいな、という状況だった。
 
今回は力を留守番、とは全く考えていなかったので、
もし、入院したり、体調不良であれば、力と私が不参加となる。
先生にもその旨相談して、その際は、私の代わりに弾いてもらうよう、お願いしていた。
 
なのに、前日になって、夫が仕事で戻れない可能性が出てきた、と電話。
娘たち、テンション下がりまくりだ。
イメージ 1
私と力がいない場合、
夫と私と力がいない場合、
夫がいない場合、
考えねばならん場面が増えて、
じいちゃんばあちゃんも動員しながら、
どうしたもんかと頭悩ませていたが、
夫はひとまず、戻ってこれることになった。
 イメージ 4
 
 イメージ 3
土曜午後は、それぞれ、
いろんなところで楽器が鳴っていた。
なんじゃこの家~。
 
力も練習に加えてみたが、
座らせると顔色優れず、すぐに撤収した。
 
やはり、力は改善したとは言えない。当日まで様子を見ることにしたが、
これは無理に連れて行けない公算が高いかも。
 
しかし!今朝目覚めた力は、昨日よりいい。本番男の本領を発揮している!
 
 
朝早めに行く予定を、ぎりぎりまで観察してみて、家族全員で出発した。
到着して、おねえたちの演奏を最後列で聴いたが、
おもしろいことに、おねえたちの顔は全然見えていないのに、
おねえたちの曲の時だけ、激しく足をばたつかせて落ち着きなくなっていた。
そのほかの方々の演奏ではほとんど反応なしだったのに。イメージ 5
散々同じ部屋で練習を聴いているので、覚えていたんだろうなあ!
 
第二部のアンサンブル部門の2番目で、Rが歌い、夫と私が一曲ずつ伴奏し、
力はNと一緒にリングベル。
なかなかよかった。(私は案の定、最初も最後も途中もひっかかった。
慣れてるRは構わず先に進んでくれた)
 
最後から2番目に、今回のメインの家族合奏。力と私でハンドベルをした。
せっかくリハの先生が、ベルを持つ時のためのバンドを作ってくれていたが、
装着すると、今ひとつな顔をしたので、一緒に持ってベルを鳴らした。
後からビデオを見ると、どちらの出番でも、
力は本当に楽しそうにしていたのが印象的だった。
あんなに体調悪かったのに!!
 
早めに帰宅して、力、楽譜と楽器と一緒に写ってみた。
楽譜は家族それぞれ色違いで一式作った。おねえたちが表紙に名前と絵を描いてくれた。
イメージ 2
夕方くらいから調子上向き。
夫はやっぱり仕事が入り、夜に戻ってしまったが、力は、体調が戻ってきた模様。
風呂時には大声で笑ったりしていた。よかったよかったー。
 
今年最後の家族イベントを、家族全員でクリアできてよかった。
これも、いろいろと配慮していただいた先生方や、周りのみなさんのおかげである。
 
 
振り返れば、今年は最初の数カ月がかなり厳しい状況だったが、後半に大きな家族イベントを経験できた。
 
今日のコンサートも、前日より良くなったとはいえ、午前中は、まだまだだったので、
会場まで車で移動しながら、げほげほと咳き込み吸引必要な力をみていると、
ここまでして力を連れてくることは、私たちの勝手な都合ではないのか、間違ったことじゃないのか?
と自問自答しつつだった。
 
でも、そこを押してトライしてみると、本当に楽しかった!みんなで参加できて、本当によかったと思う。
 
今年は今回のように、力を「少し頑張らせてみる」ことができた一年だった。
今までは、内回りに内回りに毎日を過ごしていたが、
どうかな、と思いながらも、力に少し負荷をかけて頑張らせ、それをクリアした年だった。大きな進歩だ。
力もみんなと一緒だから頑張れる、つまり、力ってそんな奴なんだろうなあと、発見できた。
 
守って守って、の日々に慣れてしまうと、ちょこっと無理させてるかも、という状況は、かなりつらい。
大人も鍛錬された。おねえたちの存在と力は大きい。
 
でも、こんなトライをさせてもらえるのは、周りの方々のおかげである。
できた、と思わせてくれる環境を作ってくれる皆さんに、本当に感謝したい。
そして、力ももちろん、頑張っている。ありがとうありがとう。
子どもたちがこれだけ頑張ってるんだから、大人も頑張らないわけにはいかんな。
 
私も夜な夜なピアノを久々に練習してみて、やっぱり楽器ていいなあと、再認識したのだった。
また、こんなことをできる余裕ができた今を、ありがたいなあと思う。
時間見つけて、これからもちょこっとだけでもピアノ弾いてみよう。下手の横好きでも。
 
来年はもっと、チャレンジすることが増えてくればいいなあ。
 
 
【12/19本日の演目】
Rピアノソロ・「貴婦人の乗馬/ブルグミュラー
Nピアノソロ・「子供の情景より〈知らない国々〉、〈珍しいお話〉/シューマン
R歌1・「カントリーロード耳をすませば)」;母ピアノ、Nコーラス
R歌2・「AMAZING GRACE」;父シンセサイザー、母ピアノ、力とNリングベル 
家族合奏・「交響曲第7番第1楽章より/ベートーベン」
;Nピアノ、父シンセサイザー、Rソプラノリコーダー、力と母ハンドベル