みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

Let's go Crazy!!~力inハウステンボス・2泊

夫の力看護研修の最終イベントとして、初の二泊に挑戦することにしていた。
より日常生活に近い状態ということと、おねえ達が楽しめることの二つを検討した結果、
ハウステンボスの場内コテージ風ホテルを予約。

でも、計画予定の週のはじめからどうも調子がおもわしくない力。
金土日の予定だったが、火曜の眠りモード、水曜の活気なしから、やや嘔吐と、やや着色痰があり、
こりゃ奇跡の大逆転無しには無理やなあ、と話していたが、
木曜午前から抗生剤を投入し、すぐに調子が上向きになる。機嫌もよくなってきた。

それでもこの状態ではあまりに無謀、と思いつつ当日を迎えたが、
夜は眠れているし、機嫌もよく、しかも上向き。
夫がいて二泊もできるチャンスはめったにない。おねえ達もすっかり行く気になっている。

無理してみるか。

母は寝不足状態のまま大決断をした。この決断が吉と出るか凶と出るか。。。
BGMは当日朝からずーっとLet's go Crazy(/by PRINCE;1984)が流れっぱなしであった。

午後出発の予定だったので、午前いっぱいいっぱい、いつでも中止する勇気を持っておかねばと、
できる範囲で準備を進めていた。
折しも、すごい雹が降ってきた。なんてこと。行くなということなのか、行けということなのか?

さて準備は、それはすごい大荷物である。
入院なら大荷物でも医療機器が不要だが、泊まりとなると、いつもは使わないもの、緊急対処ものも、
考えられるだけ全て、持参しなければならない。さらに倍、という多さ。
すっかり準備してしまうまで3時間ほどかかった。行く前から、既に行って帰ってきたかのように疲労

力はやっぱり、なかなかいい感じである。行けそうだ。行ってしまえば、どうにかなるだろう、と、
出発することにした。
おねえ達と夫はそれぞれリュック一つに最低限の荷物をまとめて自己管理。
おねえ達と夫で計3個のリュック。残りは全て力の持ち物7個口、全部で10個の荷物になった。
ちなみに、私は着替えのみを力の着替えリュックにつめただけで最も少ない荷物である。
バギーとおまるが大物で最もかさばり、詰め込むのに苦労したが、どうにかいれこんだ。
「夜逃げ状態」である。
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それから、高速道路を使って移動したが、当の力はご機嫌で、ドライブ楽しむ余裕あり。
翻っておねえ達、すぐに乗り物酔いして、はやくー、きついー、などとびいびい言っていた。
おねえ達、列車といい車といい、乗り物はダメということが判明。

なんだかんだで、予定より1時間弱遅れて無事到着した。天気もよくいい感じ。
宿泊場はハウステンボス園内にあり、入国ゲートからかなり遠くにあるので、
事前に予約していた車いす専用車両で荷物共々送ってもらう手はずになっていた。

ほどなく車を駐車したところまでやってきてくれて、大荷物を移動させた。
そして、力はバギーのまま格納された。初めて見るクレーン型。なかなかおもしろかった。
力も、動じることなく乗車した。肝が太いやつである。
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宿泊場の目の前まで送ってもらい、大荷物を下ろし、力を同じ手順で下ろしてもらった。
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部屋に入ると乗り物酔いでげっそりしていたおねえ達、
すっかりテンションあがり部屋探検。
私たちは荷物を部屋にいれ、
すぐに力の場所を確保して落ち着かせてあげなければならない。
また、移動ですっかり押している注入もすぐに開始だ
ばたばたと寝床を作って吸引器を設置し注入開始。
力は全くいつもと変わらず。
ここで、私は吸入薬を忘れたことに気づいた。なんてこと!!
取りに行くか?などと夫と話していたが、とりあえずこのままやってみよう、と、いうことに。
全く、最も大事なものの一つを忘れてくるなんて。いきなりかなりへこんでしまった母。
もうバカバカバカー。

さて、何かあってはいかん、と、じいさんばあさんが別ルートで別宿泊所にきていたのだが、
じいさんばあさんにおねえ達を託し私たちは部屋作りと注入待ち。そのうちすっかり暗くなった。

基本的には大人が交代で力と留守番して、おねえ達と3人で行動することにしていたが、
力も元気だし、と、光の街に変わっている場内に力を連れて行くことにした。
母の、先ほど発覚した大きなミスも引きずらず、能天気イベントモードになっている私たちである。

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広場ではゴスペルライブ。
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メインの塔も
ライトアップ。

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外はさすがに寒く力も元気がなくなってきたので、
早めに食事をすることにした。
食事処ではばたばたと足を動かしてうれしそう。

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帰りに場内の別宿泊場にいるじいさんばあさんを訪ねた。
宿泊場の雰囲気は良かったが、
なんと、部屋に通じるエレベーターホールに、
階段でしか行けないではないか!!!
いくら雰囲気よくてもがっかりだ。
こんなことは力がいないと気付かないところだが、
ホテルサービスとしては、大事なところだろう。
帰り際にホテルスタッフに道を尋ねたが、
バギーに乗る力連れの私たち一行に、
やはり階段がある道しか教えてくれなかった。
夫と二人でえっちらおっちらバギー抱えて、
上り下りしたのであった。

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夜は少し遅くなったが疲れたおねえ達はすぐに就寝。
力も、いつも通りの時間に風呂に入り処置して、
注入している間に眠ってしまった。全くいつも通りである。

翌日はさすがにお疲れ気味な力。朝はずっと大の字ですーすー眠っていた。感心するほどである。
午前は朝一で夫と娘たちで園内を回ることになっており私が力と留守番。
お天気は今ひとつだったが、みんな出払ってしまって力も寝ているしで、
部屋片付けやいろんな準備をできたので、静かななかなか充実の午前。

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宿泊したお部屋はコテージ風で水辺の二階建棟。
縁側はすぐに水辺に接しており、
水鳥などが遊びにきたりで素敵なところだった。

昼は、じいさんばあさんの好意に甘えて、
子どもたちを任せて1時間ほど夫とセグウェイ体験試乗に。大変楽しかった。(後日の別記事参照)

ランチの後は夫が力と留守番し、女性陣は園内めぐり。夕方いっぱいまで遊んだ。
力はいつも通りに元気だったらしい。

夜は昨日の反省から、力は外に出さずに大人は別々にとることにした。
まず第一弾で夫と娘たちが行き、私は1人で後から行ったが時間遅く場所が限られ、
しかも途中夫から、力が吐いた~と電話がかかってきて、すぐに部屋戻ることに。
力は吐いた後はすっかり気持ち良くなっていたが、心配した。
でもその後は何もなく、また時間遅くならずに眠ってしまった。

翌日は帰宅日。
部屋を片付け荷物をまとめて、来た時と同じく車いす車両に乗せてもらって荷物を運んだ。
ランチを食べてから帰宅したが、力は車中で全く眠らずに御機嫌に乗っていた。
全員でお出かけは、やっぱりうれしかったのだろう。

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無事帰宅していつもの場所に寝かせると、
力、うれしそうにごろごろしていた。
力以外の全員がグロッキーだった。
いつも通りなのは力だけ。

なにはともあれ、無事に行って帰ってこれた。
無理して無謀だったが、力は元気に戻ってきた。ありがたいことである。
おねえ達も、全員で行けたことに満足満足であった。よかった。

私も2泊できたことで、少し自信にもなった。
力がもう少し大きくなれば、またもっと遠出もできるかもしれない。

また行こう!みんなで!

Let's go Crazy!!

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