みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

通常運転に

週末に無事退院し、停滞していた様々な家事雑事を消化した翌日は、
早朝から弁当作っておねえたちの運動会だった。
力は、ヘルパーさんにお願いしたが、
お天気は開催が危ぶまれるような小雨混じりの曇りだったことで、
運動会プログラムは駆け足でこなすことになり、予定より2時間ほど早く帰宅することができた。
力がこの天気を仕組んだのではないかと思ったほどだ。

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退院時も翌日の運動会の留守番時も、なんとなく活気がない力。
でも、吸引も少ないし、下痢も嘔吐もけいれん発作もないので、
安定しているには違いないのだがパンチがない。

よだれは多いよなあ、嚥下ができなくなったのでは?、
いつもみたいにごろごろゲラゲラしないなあ、けいれん止めの薬のせいかも?、
などと、考えれば考えるほど、心配になっていた。

週明けはおねえたちも代休だったし、私もすっかり疲れ切っていたし、
力はやっぱりおとなしすぎるほどだったので、通園は見送ってのんびり過ごした。

すると夜は静かに眠ってしまい、火曜の朝、すっきり目が覚めて、体調もすっきりしたようだ。
朝からごろごろゲラゲラ、いつもの力に戻った。よかったー。
やっぱり土曜の時点ではまだ本調子ではなかったのだろう。


今回の入院、親類の結婚式に出席した翌日から、おねえ達の運動会の前日まで、という、
ちょうど、家族の行事を避けるようなものだった。
力自身の運動会だけが、唯一、キャンセルになった。
力の運動会の週末は、帰宅する予定だった夫の仕事がどうしても調整できそうになく、
やっぱり帰れないようだ、と言っていたのが結局、
運動会自体に不参加になり、夫が帰宅する当初の理由がなくなった。

これまでも、どんなシビアな状況でも、これは、といういろんなイベント事は、
どうにかこなすことができている。不思議なことに。
これはもちろん、周りのたくさんの皆さんの協力のおかげであるのは間違いないが、
力も、周りのことを何でもわかっていて、自らスケジュール管理しているのではないのだろうか???
と、改めて思った。

まあ、それはそれとして、通常運転になったので、現時点では明日から通園しようと思っている。


さてさて、今回の入院の二週間は、いろんなことを考える時間が長くあったように思う。
入院前、脳波及び脳MRIの検査結果でへこんでいたところに、
入院後偶然、力と同室になったことがあるお友達がほんの1週間前に病棟で亡くなったことを聞いた。
ちょうど入院前に逮捕された、当地の母による子の殺人の事件に憤っていたことなども含め、
頭が整理できない状態であった。

力が落ち着いて退院するまでの数日間は、久しぶりに読書したが、
鬱々とした気分は、この本で、救われた。

『海になみだはいらない/灰谷健次郎

灰谷作品は、いつか読まねばと思いつつ機会がなかったのだが、病院の本箱で見つけて手に取った。
短編集だったがタイトル作品他どの作品を読んでも心が洗われ、優しい気持ちになれた気がする。
これは蔵書にせねば!と思ったので、退院後、中古本で代表作を文庫で十数冊を調達した。
ということで、私もようやく通常運転になったということですね。


他にも以下の作品を読んだ。読んだ順に並べたが、今回もなかなか充実?の読書タイムだった。

イメージ 1「希望の星/南ユウ」
療育センターの先生から借りた本。 口唇口蓋裂等の障害がある男の子とその家族の話を、男の子の一人称で語るノンフィクション。一人称で一見ほのぼのなのだが、内容はシビアで、自分を投影してしまうところもあって私は涙なくしては読めなかった。

イメージ 2「別冊カドカワ(総力特集)コブクロ
昨年末に夫が持ってきた本を、いつか読もうとしていて今になった。上記本の涙涙の後、ちょっと息抜きにライトに読みたいと思い。まあ今となってはちょっと時期外れではありますが。

イメージ 3「朋はみんなの青春ステージ―重症心身障害の人たちの地域生活を創る/日浦美智江」
これも療育センターの先生から借りて、入院時に読もうと借りっぱなしになって一年以上経過していた。読もうとしてもいつもプロローグ部分で既に泣いてしまうのでなかなか読み進められなかったが、ついに読破した。重症心身障害者の施設を創った過程は、いろんな意味で、とても参考になり、力になる内容であった。それにしても著者の熱意には本当に頭が下がる。こんな施設がたくさん増えると、本当にうれしいが。

イメージ 4「海になみだはいらない/灰谷健次郎
二番目のダックス先生の話も大好き。

イメージ 5「岩壁の掟、偽りの快晴/新田次郎
山岳小説の短編集だったが、これはかなり重かった。でも、山登りしない私でも、ぐいぐい引っ張られる作品だった。でもシビアだ。これ読むと冬山の映像を単にきれいだなあなどと思えなくなった。

イメージ 6魔法使いハウルと火の悪魔/ダイアナ・ウィン ジョーンズ」
ジブリの映画「ハウル」の原作本。原作はやっぱりおもしろい。ベースを踏まえて設定を微妙に変えている「ハウルと動く城」も、原作と比較して、宮崎色を入れてなかなかうまく映画化されているなあと思った。偶然これを読んだ翌日に地上波で放送されていた。

イメージ 7大草原の小さな家/ ローラ・インガルス・ワイルダー
児童本を久しぶりに読んだ。子どもの頃テレビで見ていたことを思い出し。大草原の小さな家という作品は実は、著者ローラの家族の物語7巻のうちの2番目ということを、今回読んで初めて知った。原作はハウルと同様、やっぱりおもしろかった。