みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

「人生は、待つこと」

先日、地上波でも放送されていた米映画、「ターミナル(トム・ハンクス主演)」。
劇場公開された約四年前の正月、おねえ達を預かってもらって、私たち夫婦で久々に観に行った映画だ。
その後すぐに力を授かったので、多少なりともこの映画は力に関係するのでは、
と思っていたが、この映画のキャッチフレーズ、

「人生は、待つこと」

は、力に関しても、またおねえ達の育児や生活、仕事などのいろんな局面で思い出すことになった。


「年齢に対して、脳室が大きく、脳委縮傾向がみられる。
小脳虫部が低形成だが後頭蓋窩の拡大はみられず、dandy-walker varientが疑われる。」

この検査結果を受けて、検査疲れも相まって、おねえ達が寝た後にぐったりきてしまい、
のろのろと片づけして、力を風呂に入れ、
もらった薬の整理をして、器具消毒して、洗濯して、夜の注入の準備までした後の記憶なし。
普段は所見内容などについて、調べたりするのだが、パソコンを開く気力も元気もなし。
翌日まで冴えない気分を引きずってしまった。

dandy-walker:ダンディウォーカー症候群とは、脳の症候群の一つ。
力は、あてはまらないこともあり、~かもしれない、との診断である。
低形成である小脳虫部は、脳の中でも「バランス」をつかさどる小脳の一部である。
左右の協調や、精密な動きに特に関係するという。

小脳の障害がある場合、知覚、運動機能のバランスに関する発達の遅れが見られるそうだ。
立ったり歩いたりする時に、ふらふらしてしまうことがあるという。

「立ったり歩いたり、できないということですか?」
と尋ねると、主治医、
「立ったり歩いたりする時に、ふらふらする、ということです。」
とのこと。教科書の一般的回答しかできないのは、仕方のないことである。

主治医の診断の行間も、一般的な症例を調べても、いろいろと考えてサゲサゲな気分であった。
でも、最も大きなこのたびの母のへこみ気分は、
今回の所見内容に、というよりも、
ここ最近の力の調子良さや、何もかもわかったかのような表情を見るにつけ、
「脳委縮傾向は止まっているのでは、意外に正常形に戻りつつあったりして」
などと、
かなりの期待をしてのぞんで受けたMRIの結果にショックを受けたことへの自己嫌悪感が大だった。

多分力は、今現在、自分の持つ能力以上の力を発揮しているに違いない。
それをいいことに、「這えば立て、立てば歩めの親心」とばかりに、
母が知らぬ間に、一般ペースに近づかせようとしていたことを思い知らされた。

自分だけ力よりもずっと先に行って、ほれ頑張れ頑張れ、と思っていたのではないのか。


ダンディウォーカー症候群のことを先に調べた夫から、
この症候群の男の子、雷星くんのママのHPがあったのでみてみて、
とのメールがあったので、チェックした。

このHPの冒頭プロフィールの、雷星(らいせい)くんの名付けの由来を読んで、泣いてしまった。

「雷の様に強く育っていきますように。
そして、星の様にたくさんの仲間に囲まれて明るく光っていられます様に。」

私よりも一回り以上も若いお母さんだ。年長の私、負けてはいられないぞ。

この症候群や、小脳虫部低形成について、いろいろを調べてみれば、
やっぱり当てはまることはたくさんあり、なるほどねえ、と思うことはあるけど、
トリーチャーコリンズ症候群のことがわかった時からと同じく、
まあそうはいっても、そんなことより、出現した何かに対して迅速に対応して、
適切な対処療法できることが重要だろう、と思った。

ちょうど、タイミングよく、緊急用の酸素バッグも調達できて、
自宅で可能なことで、できないことはほとんどない、状態になった。

気を抜かず気を張らず、止まらず進み、急がずに、行こう。
気が短い私には、この言葉は、やっぱり、有用だ。

「人生は、待つこと」