北京五輪も既に終盤。
各新聞やテレビ等マスコミは、既に総まとめやスペシャル番組を8割方作ってしまっているだろう。
日本と開催時間のズレは少ないとはいえ、視聴者もそろそろ脱状態になっているかも。
前半一週間はちょうど盆休みだった、ということもあり、
自宅の特に夜はオリンピック三昧であった。半分以上の競技をお茶の間観戦した。
タイムスケジュールをチェックしながら、チャンネルをせわしなく変えながら、できる限りライブ観戦。
僅時差で100mのボルトの超絶世界新のライブは見逃した。悔し~い。
さかのぼって「北京五輪いろいろ」。
既に「女子の活躍が目立ちます!」と言われている。
開会式翌日の競技初日、「谷、ママでも金ならず」は、日本の多くのママたちを落胆させたに違いない。
私もとても残念だった。谷のファンというわけではないが、
競技者としての努力と、抜群の集中力はとても魅力だし、
やっぱりママの一人として、熱く応援していたから。
でも、「ママでも金」なんて、果たして本人からなのか、または誰かから言わされたのか、
定かでないフレーズを、日本発祥の競技、柔道の第一人者の谷が言い続けてくれたおかげで、
他国には、いかに「ママでもメダル」な選手がいるか、多くの人に気づくきっかけを与えてくれた。
これは大きなポイントだ。日本女性の結婚出産観を変える要因になるのではないだろうか、と思えた。
負けても柔だ。やっぱり。
旗手に抜擢された福原愛が出ている卓球は、期待薄だったが偶然観戦して驚いた。
前半の団体戦は、どれもしびれる試合の連続。卓球ってこんなに興奮するスポーツだったんだ。
最も印象的だったのは、女子の香港(ランキング3位、日本は5位)戦。
2試合を逆転で取り、最終5試合目シングルス平野選手の鬼神度!
拳を突き上げ相手を威嚇し、ランキング格上の相手を圧倒した。いやあ親近感を覚えました。
また、同じく、オグシオなんてちやほやしちゃってさあ~、などと、期待薄だったバドミントンも、
アイドルオグシオ(確かにかわいいのは間違いないな)の陰に隠れた、
スエマエ(っていつから呼ばれ始めたんだ?)の、中国人ペアに金星を挙げた一戦、
振り切った試合ぶりには、大拍手だった。
チーム競技については、実力通りの展開で、
男女バレーも女子ホッケーも振るわなかったのはしょうがないと思うが、
予選でかなり苦戦している星野ジャパンに対して、メダルが確定した女子ソフトボール、
全敗の反町ジャパン尻目にベスト4に進出したなでしこジャパンの、
前に前に、という女子のガッツな感じは、とても爽快だった。
女子の活躍は確かに目立つし、
女子選手のかっこよさ、潔さは、ここ数大会で最も際立った印象を持つ。
男はどうした!と言いたくなる中で、気を吐いている(という表現は多分適切ではない)のが、
平成生まれ近辺の、10代、20代前半のちびっ子たち(失礼)だ。
柔道金メダル石井、体操銀メダル内村、卓球の水谷など。
彼らの共通点は、こんな大舞台でも「ほとんど緊張しない」ということ。
また、結果は出せなかったが、陸上女子短距離競技に日本から56年ぶりに出場した福島千里も、
まさに、平成しか知らない世代。私たちの時代の人間と、意識が全く違うのかもしれない。
社会人ならKYと言われそうな彼ら。スポーツ界の世代交代代表格だ。
次大会で今以上に力を発揮できるかで、真価が問われる。今から楽しみである、
ちびっ子たちのKY度と対極にあるのが、
アテネ組(もしくはそれ以前の大会から)の実績組、ベテラン層。
柔道、女子レスリングについては、アテネ組が結果を出したし、
水泳も、終わってみれば、アテネ組がメダリストとしておさまったが、
注目していた室伏、為末、末継、マラソン野口みずき、土佐玲子もしかりの陸上については、
著名選手は全員と言っていいほど、この4年で満身創痍となり、
棄権や一発敗退など、全く振るわなかった。スタート時の顔も、見ていられないほどであった。
結果を出した者もそうでない者も一様に口にする、
「この4年間いろいろあって、辛かった、苦しかった。」
との言葉を聞くと、
その背後にある経済的な問題、スポンサーや、メディアなどの要因が透けて見えて、
何だか、見ているこちらが苦しくなってしまった。
自らの求道が他人のものになってしまっている感。
といっても、現状は、お金がなければ、スポーツなどできないし勝てない。
賞味期限が極端に短いスポーツ選手、特にいい歳の選手たちは、
先の見通しがたたない不安とも闘いながらの鍛錬だ。
彼らに、伸び伸び!とか、楽しんで!なんて、かなり酷なことなんだろう。
ちびっ子たちが「緊張せず」に活躍することも、まあ当然である。
でも、惨敗の結果にも、なんとなく大きなバッシングなどがない日本だ。
一部、ネット上では結果を出せなかった選手への苦言等がざわめいているようだが、
五輪ではないが、サッカーW杯敗戦後の空港での選手への水かけや、
ネット上でのQBK(急にボールが来たので)などの言葉が流行るなど、茶化しも入った批判など、
少し前までは、やや激しかった言動行動が、すっかり影を潜めている。
中国のスーパースターハードラーが、棄権した途端に非国民呼ばわりされていることと比べると、
日本も、度量が大きくなったのか、または、そこまでいれこまなくなったのか、
いたってマイルドに、お行儀よく応援している、という状態だ。
まあ、極がいいのか、中庸がいいのかなんて一概には言えないのだが、
一般市民として自分も、4年に一度の五輪に毎度がっつりはまってしまうのは、
ずーっと前から変わりなし。
「たくさんの応援と支えてくれた人に感謝」
「自分なりに精いっぱい」
こんな試合後コメントが、この北京では日本選手の合言葉のように、多く聞かれたが、
それがはったりでもなく、真の気持だと伝わってくるので、
どの選手が、何度同じように言おうと、じーんとくるのは私だけではないはず。
毎日毎日、うるうるしている。
先日、商業施設のスポーツ店の前を通ったら、特設として、
本日の五輪の結果、などと、トピックス含めた掲示物が貼っているホワイトボードがあった。
それをチラ見して、
「ええー。北島って、二つも金メダルとったとー?知らんかった―。」
などと大声で話しながら過ぎ去っていく高校生?の女子2人組を見かけた。
水泳の北島二冠二連覇、街では号外が出たほどのニュース!
しかも、その日は二冠達成の数日後であった。
彼女らにとっては五輪なんて、いつもの番組がなくなって、ちょっと邪魔くさいイベントなのかもなあ、
としみじみと思ったのであった。
まさに平成生まれの方々。ちびっ子ちゃんたち、根性や努力、汗と涙なんて、無縁か?