みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

3,4週目~人のために作ってみる

3週目となると、どうも、「家でどうしても作らねば」という強迫観念にさらされているらしく、
憂鬱になっているらしい。全く、肝の小さい夫である。

朝は簡単にでも家で食べていき、週末は食材を調達し再度鍋にトライしたりで、
(といっても、内容は同じもの)
とりあえず、食生活習慣の意識改善はみられるのではないかと思う。

連休は帰宅してきたので、娘たちとクッキングでもしてみたら?
と話していたが、
うちにある唯一の小型料理本を出してやると、食い入るように読みだした。おもしろいらしい。

料理本ってのは、レシピはもちろんだが、
欄外に書いてあるような小ネタが意外に、実際の料理に参考になることが多い。

「へえ~、鶏ささみってさあ、豚とか牛のヒレに相当するらしいよー。」
などとトリビアっている。
まあ興味を持つことからが第一歩であろう。


さて、そんなトリビアな読書の中、チョイスしたのはなんと、

「タンドリーチキン」

そんなの、私だって作ったことないぞ。

普段料理をしない人が、いざ料理をしようとすると、
手が込んで見栄えが良かったり、メジャーな名前が付いている料理を選んだりするのは、
よくあるパターンだと思う。
それは、ただ一度きりのメニューを考えればいいからだ。

毎日の献立を考える側としては、栄養バランスと、食材の費用対効果が第一だ。
使い回しできる常備菜を、定番調味料だけで、
腐らせずにどう形を変えて、食べる人が飽きないように提供できるか、というところがポイント。

某テレビ番組人気コーナーで、男性スーパータレントの面々が、
豪華でめちゃくちゃおいしそうな料理を作ってみても(確かにおいしそうで食べてみたいが)、
見たことも使ったこともない、いかにも高価そうな食材と調理器具を見れば、
そりゃーね~、なんて、思ってしまう。


話戻り、タンドリーチキンだ。

夫は私たちに、おいしい!と言わせたいと意気込んでいた。

レシピはこんな感じ。

<タンドリーチキン>
[材料]
骨付きぶつ切り鶏肉:一羽分+塩コショウ
つけ汁:玉ねぎ2個としょうが、にんにくのすりおろし
   +カレー粉、ヨーグルト1.5カップ、レモン汁、
   +クミンシード、ターメリックベイリーフ、チリパウダー
[作り方]
1.鶏肉に塩コショウしてもみこむ
2.つけ汁をあわせ鶏肉をつけて5時間以上
3.オーブン200℃で2,30分

つけ汁用のすりおろし玉ねぎの時点で、
「玉ねぎってすりおろせるのか?」
というレベルである。
遠巻きに見ていると、すりおろせない端や皮をどんどん廃棄しているので、
もったいないと指摘した。食材はいかようにでも利用できる。残すところはほとんどない、のである。

夫:あのさー、ターメリックとかクミンシードとかある?
妻:はああ?そんなんあるわけない。
夫:じゃあ、クレイジーソルトは?香辛料入りの?
妻:あのねえ、そんなん、一般家庭に常備の調味料じゃないとよ。
夫:ええー、それじゃ、もうこれできんやん。
妻:適当なので代用しーよ。これは?(チャンプルの素:石垣の塩と香辛料の混合)
夫:ああ。これでいいのかなー。まあしょうがないな。じゃさ、レモンある?ポッカレモンは?
妻:ないよ。
夫:・・・じゃあ、もう入れまい。
妻:だめよ!レモン汁は、この鶏料理のキモやろ。酢で代用してみ。りんご酢があるけん。
夫:えええ?レモン汁が酢でいいわけ?
妻:酢もレモンも、鶏肉を柔らかくする効果は同じやけん、いいといいと。
夫:・・・・(不満)

レシピ通りでないと、と融通が利かないのも、こんな輩のよくあるパターン。
つけ汁作って、その後をレシピ本を読んで確認していたところ。

「ああああ、これって、5時間以上つけないかんってよ。今日間に合わんやんかー。」
と叫んだ。これだから。確認しろよ。


急遽、一転して、今夜分としてカレイのムニエルをトライ。

うちでは、手に入る時に、いいそば粉を調達する。小麦粉の代わりに、いろいろと使えるから。
それに、そば粉成分の特徴であるルチンなどは、他の食材ではなかなかとるのが難しい。

で、小麦粉の代わりに、そば粉カレイムニエルを提案。

魚の臭みを取る酒や、切れ目を入れて火を通りやすくすることなど、こちらから教えて、
焼きは勝手に任せた。

私は他の用をやっていると、夫。

「あのさー、これって、ぼろぼろになったっちゃけど・・・。」

返しすぎである。焼けたかどうかわからず、何度も何度も裏返したらしい。
見事にぼろぼろになったカレイ。原形とどめず。

あーらら、子どもたち、なんていうかね、
と言って食卓に並べると、
わーすごい、お父さん、おいしいおいしい、と食べている。

まったく、子どもに気を遣わせてどうする。


さて、翌日に持ち越しのタンドリーチキン。
おいしそうな匂い。よくつかっている。

夕方、あー楽しみなタンドリーチキン♪、と言っていた夫、また叫ぶ。

「あああー。塩入れるの忘れたああ。」

まだ2時間ほどある。今から入れて、と、指示。

で、夕食時、とうとうオーブンの天盤に並べ、焼き始める。
タイマーを短めに設定しているのに、クマのようにオーブンの前でうろうろしている夫。

しばらくしても、焼き時間短め設定だったからか、なかなか焼け目もつかず、
イメージしていたタンドリーチキンとは程遠い風貌。
でも味見をすると、火は通っている。
もうこれでできあがりってことでいいっちゃない?と私。
夫、納得はせぬまま皿に盛ることにした。

彩りを考えて、レタスを添えたら?とアドバイス
「なるほどねー。」と。

そしてできあがりがこれ。
イメージ 1


目標のタンドリーチキン、とはいかないが、味はまあよし。よく味が染みておいしかった。

娘たち、二日連続で、
「ああー、お父さん、すごーい。おいしいよー。おいしいおいしい。」
と、本当に箸が進んでいた。

娘たち、気遣半分くらいかな。


しかし、当の本人は、いろんな点で不満だらけだったようだ。
「こんなに手間をかけたのに(て程もないけど)、味も見かけもこの程度なんだー、
料理って、難しいねえ。」
とのこと。


50点(本人採点)