みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

開通ーーーーー!

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今朝少し遅めに来たら、ちょうど回診が終わったところだった。
「あーー、もうお母さん、惜しかったあ!」
とみんな口々に。
聞くと、いましがた、初のおならが出たらしい。
おおー、とうとうガスがでましたか!くそー聞きたかったわあ。

よく、盲腸手術後で、おならが出たら「やった!」という場面があるが、
力は、盲腸ではない、主たる消化器官の小腸縫合手術をやったわけなので、
おならの意味はかなりでかい。

顔色も昨日より大分良い。
昨夕から気管から出ていた鮮血、夜まで続いていたようで、とても心配していたのだが、
早朝、耳鼻科医が来てくれて、
カニューレ自体を別のものに交換してくれたらしい。
「アーガイル」という種類を試しに入れてみると、
ばっちり気管内にフィットしたとのこと。

気管カニューレは何種類もあるそうだ。曲がり角度、材質からつばの形状まで様々。
今まではポーテックスという、大人はほとんどこれを使っているという汎用品だった。
先日、肉芽がなかなか小さくならないため、
もう一つの汎用品であるシャイリーという種類を試してみたが全く合わず、
また元に戻したところだった。
今回は、耳鼻科に外来で来ている多くの患者さんの中で唯一、
3歳の女の子一人だけが使っている、このアーガイルがもしかして合うかも、
と耳鼻科医が思いつき、
早朝から、挿入部分の長さをカットし、(既製品は挿入部分が少し長い)
先をやすりで磨いて力用に作って、試してくれたそうだ。
朝早くから、ホント、感謝感謝。

昨日点滴に入っていた痛み止めは既に終了しており、
麻酔も少しずつ抜けている時期ではあるが、
力、術後疲れからか、ずっとぼやーっとしている。
起きて痰が出て、取ってもらうとまたぼんやりして眠ってしまう、の繰り返し。
今日は昨日痰が少なかった反動か、かなり多い。
カニューレがばっちし合っているから出やすい、というのもありそうだ。
出る痰はきっちり取っていかないと、肺に痰がつまり呼吸不全の原因となる。
でも、昨夕、酸素飽和度が下がり気味だったため酸素供給していたのが、
今日は朝から外れており、
眠っていても、ほとんど変な値に下がらないので、いい傾向だ。

夕方、付き添い交代のじいさんが早めにやってきた。
ちょうど耳鼻科医が、再度アーガイルの確認に来てくれて、
ファイバで中を見た後、話をしていた最中だった。
力、起きていたが、ふいに、

「ぶりぶりぶり~」

と大きな音がした。耳鼻科医と顔を見合わせて、これは?と。
(先日音に反応した時と似た状況だなあ)

おむつを横からめくってみると、
おおおーー!ウンチをしているではないかあー!!

緑色の、新生児期によく見るウンチ。ちゃーんと普通のウンチだった。
力、ウンチが出たときのいつもの仕草だ。妙な顔で足を上げもぞもぞ。

「うわー、看護婦さーん、ウンチが、ウンチが~。出ました~。」

大声で叫びながら、メイン担当看護師を探しに行った。

看護師はすぐ来てくれた。
「まあ、まあ!!見せて!ホント!すごーい、ちーくんすごーい!」
すぐさま医師に報告の電話をしに行って、
会う人会う人、
「ちょっとお、ちーくん、ウンチが出たと!それも立派なウンチよ!見て見て~。」
と自慢し回っていた。

専門は全く違うが、そこにいた耳鼻科医も一緒になって拍手してくれた。
ちょうどそこへ居合わせたじじも、これで一緒にゴルフ行けるぞ、と喜んでくれた。
看護師さんたちも、わざわざ病室に入ってきて、
「よくやったねー、よかったねー、えらいねー!」
と口々に言ってくれた。
後から来た外科医(2番手)、相変わらずポーカーフェイスではあったが、
「よかったですねえ、順調すぎるほど順調ですねー。」と言ってくれた。
まあ、外科医としては、特別珍しくない、手術やってしまえばこれは当然のことかもだが。
外出していた外科医(3番手・担当)も、
「おおーすごい、立派なウンチやね。ちゃーんと出てる。」とうれしそうだった。

『ウンチが出る=開通している』
ということになる。小腸の縫合がうまくいっている証拠。
もちろん、まだ安心はできないが。
腸切除したのが、ちょうど約一月前。
それから今まで、排出はストーマから、人工的な処理をしていたが、
今、ちゃんと、栄養を自分の身体の中で消化吸収し、自分の肛門から出して完結している。

健康な人には当たり前の身体のしくみだが、
こんな身になってみると、今更ながら、
人間の身体ってうまいことできているなあ!と感嘆せざるを得ない。

いろんな山を越えて、力はここまできた。
ウンチが出た、
それだけで、
こんなにうれしくなって、ありがたくって、皆さんにも喜んでもらえるって、
何て幸せなことだろう。
ウンチが出たとよーー、と拡声器でみんなに知らせたいくらいだったよう。母ちゃんは。

夕方じじと交代して、予定入っていた保育園の父母会総会に出席した。
会が終わった後、
いつもこのブログを読んでくれている父ちゃん母ちゃんに、
「どう?今日(の力)は?」
と恐る恐る聞かれた。
ほとんどリアルタイムで読んでくれているので、
前回の術後が大変なことになったことを知っている皆さんのこと、
手術後の経過をとっても心配してくれているのだ。
ウンチでたことを報告すると、
おおー、それはよかったあー、おめでとー!と喜んでくれた。

力くん、君は幸せ者や!