みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

挿管次の日

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朝病室で目を覚ますと、力は起きていた。
看護婦さんに聞くと、深夜目覚めてミルクをほしがったそうだ。少しだけもらっている。

鼻水がすごい。口の中の分泌物も。取ってあげた。
力は気持ちよくなったのか眠ってしまった。

病棟の主治医が来た。
鼻水などが多いことを言うと、やはり、エアウエイの炎症ではないか、ということだった。
血液検査では二酸化炭素もたまってないし、正常です、とのこと。よかったー。

お茶とって戻ってくると、
知らん男が病室に入って力のそばにいる。
ぎょっとしてみてみると、またもや私服の主治医であった。

「どう?」
「いいみたいです。苦しいのがなくなって。挿管してもらって良かったと思います。」
「そう。よかった。多分あそこで入れんでも、あの日のどの時点かで入れないかんやったと思う。」
「そうですね。ところで、挿管、大変だったんでしょ?」
「・・・・そうやね。かなり大変やった。」
「もしかして五本の指に入るくらい、ですか?」
頷く主治医。
「自分はNICUでたくさんの赤ちゃんに挿管してきたけど、
力君みたいな小顎症の場合は、全然違った。口腔展開しても気道が全然見えなかった。」
「入らんと非常に良くない状況だったんですよね。」
「うん、耳鼻科を呼んでファイバー覗きながらやらんといかんか、という位の状況だった。」

ものすごく大変だったんだろう。
正直に話してくれるところが、私がこの主治医を信頼できるところだ。

「力くん、おそらく気管切開となるでしょう。」
「これまで1週間、逡巡して、悩んできたことがこういう形で答えが出たと思ってます。
頭切り替えて前向きに行きます。」
「そうですね。力くんの場合は、その時その時での対処を考えながら、
長い目で見ていくことが大事だと思います。」
「ホントそうですね。でも、力、昨日助かってよかったです。ありがとうございました。」

今までずっと踏ん切りつかずに悩んでいたこと。
力が答えを導いたのではないだろうか。
これが、家帰った後だったら、と思うと。。。

先のことを考えても仕方ない。
その時にベストと思える道を選んでいこう。
目の前のことを一つ一つ乗り越えていこう。

って、ほんと、生きる意味やなあ~。
力、5ヶ月にして、修羅場を数度乗り越えた。
そして、こんなことを大人に教えてくれる。あんたてすごいヤツだわ。