みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

イマドキ女子中学生を注意する方法は?

おねえNは部活も頑張っており、所属している部の練習ボリュームは、
校内の中でもなかなかハードな方らしい。とにかく休みが少なく、めちゃくちゃ走らされてる。
 
だが、甲斐あって、小学生の時よりも随分たくましくなった。
今頑張って体力を作っておくことは、これから先にとても役に立つこと間違いなし。
 
まあ、それはいいとして。
 
私たちが中学生の時代は、部活に保護者が関わってくるのは、
試合などを保護者がみたい時だけ勝手に来たら、というものだった。
ちなみに、うちの父母は、よく試合をみに来てくれていた。
ただし、試合会場で親子で言葉を交わすことはほぼ皆無。皆そんな感じだった。
友だちの前で親と話すなんて超だせえし、てところ。
 
今は、どの部活にも保護者の会があり、試合等の送迎を始め、
活動が大変なところは、顧問の先生のお弁当づくりやなんやかんや、様々なお世話があるらしい。
 
今Nが所属している部活は、顧問の先生のおかげで、
一番大きな保護者の仕事は、試合会場への送迎くらい。だから、楽なほうなのだと思う。
 
でもいくら楽でも、力がいるわが家の事情では、なかなか自由がきかず、
周りの方々にたくさん助けてもらっているのが実情。強制されることもなく、本当にありがたいことだ。
申し訳ないので可能な限り、車出しができる時には手を挙げてる。週末の早朝の送りが一番協力しやすい。
 
ある日、うちは早朝送りだった。
同市内の学校まで、とはいえ、かなり遠方、学校からは約1時間の道のり。
 
おねえNが助手席に座り、2人の子を乗せた。
「おねがいします!」
とさわやかに乗車してきたが、
しばらくすると、
 
「パチン!パチン!」
と、妙な音が聞こえる。
 
ちらと鏡でのぞくと、二人できゃはは!とか言いながら爪を切ってるではないか!
 
げげげ。なんじゃそりゃ。それはダメでしょう!
という私の注意モードの雰囲気を察して、横に乗ってたNは身体を固くした。
それに気付いた私は、口を開くのをやめた。
それからずーっと到着まで、どうしたもんかと頭を悩ましていた。
 
他人の車の乗っておいて、爪とか切らんやろ?
それにしても全く悪気はなさそうだ。ここで注意しとかんと、また他の車でも平気で切るぞ、この子たち。
 
とうとう到着。
「ありがとうございました!」
と笑顔で降りていった二人。
Nはなんとも微妙な顔で、ばいばーい、と私に手を振った。
 
 
N帰宅。
「あのさ、おかーさんの言いたいこと、わかるよね?あれって、注意したら、Nが困ったと?」
と言うと、
「うん、かなり困った。だけん、何も言わんでくれて良かった。」
「でもさ、あれはないやろ?爪切ったりできんよね。他人の車は他人のうちと同じやん?」
「うん、Nは絶対やらんし。」
 
うーん。
なんとも悩ましいことだ。
 
彼女らの悪気ないところがまさに厄介。
 
送迎は、タクシーじゃないのよ!
いつもなら速効で注意してる。結構がつんと言ってると思う。
がつんと言っても多分、彼女らにはあんまり響かなかったのでは、とも思う。
でもNのあの顔はねえ。どうしたらよかったのかなあ。
 
いまだ正解がわからずにいる私だ。