みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

ちからはかみさま

夏休みだ。わが家では昨年度に引き続き今年度も力の親子通園が毎日なので、
基本は、おねえたち2人で留守番をさせている。
毎年恒例の鬼母プール教室は企画しているが、それ位で、
夏休みならではのおでかけイベントはほとんどできず、申し訳ないところ。
 
ということで、
今日は、夜に、海沿いの宿泊施設で開催されている、芝生でのナイトシアターに連れて行ってやろうと、
2人に約束していた。
夜、海沿いで外なら、他の方にも大きくご迷惑をかけないだろうし、めちゃくちゃ暑いというわけでもなかろう、と、
力も同行することにしていた。
 
ぼちぼち出発するか、という時間帯に、夕方寝していた力が、目覚め悪く起き、号泣。
多分、寝足りないのだろう。ぐずぐずだ。
 
おねえたち、早めに夕食を軽くとって、出かけるばかりになっていたが、力の様子観察で、待機となった。
 
なかなか、機嫌は直らず、泣きはおさまったが、今一つ。
芝生にマットを敷いて横になるので、連れて行っても大丈夫かもなあ、と、
私は、おねえたちを連れていきたい気持ちがやや上回っており、行く方向で準備をしていたが、
うーん、どうだろうか、と迷ってもいた。
 
すると、いきなり、下のおねえRが、
「力、これじゃ、連れていけんよ。痙攣がおきたらいかんやん。」
と、ばっさり決断した。
 
上のおねえNは、外で開催されるシアターにずっと行きたい、と張り切っており、
力の状況をわかりつつ、力の横について一生懸命声掛けしながら、もんもんとしていたので、
Rの一言と、
母の、
「そうやね、やめとこかね、ごめんね、2人とも」
という決定で、しくしく泣き出してしまった。
上のおねえNは、Rと違って遊びリクエストをあまり強く出してこない。シアターを相当楽しみにしていたのだ。
 
少したつとすっかり2人とも切り替えて、
「ちーくん、行ったらいかん、ってことやったっちゃない?」
「今日行くとよくないことが起こるかも、って、ちーくんが教えてくれたかもよ。」
「そーよねー、ちーくんが何でも決めようもんね。まるでかみさまやん。」
などと、いつものように、2人で自らを納得させるつじつま合わせをやっていた。
まだ一月あるので、どの日程かで、必ず連れていくから、と約束した。
でも、ホントは、「今日」行きたかったよね。ごめんな。
 
 
今回みたいに、力のことでふたりに我慢させることが多いが、ほとんど困らせられたことがない。
彼女らの真の本心まで見えてるわけではないが、
力のせいで、などと、思っている節はないと思う。ありがたいことだ。
 
それでも、たくさん、思うところはあるのだろう。
いつか、どかーんと爆発することがあるかもしれないが、
できるだけ、そうならないように、彼女らにつかずはなれず、工夫してやらんとなあ、と、しみじみ。
 
しかし、そんなおねえたちをみて、力も本番強さを発揮しているのかもしれない。
シビアな状況から生還してくる原動力となっているのだろう。
 
きょうだいだけにある、不思議なつながり。