みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

初のピアノコンクール

イメージ 1

おねえたちにとって、夏休み最後のイベント、ピアノコンクールが2日にわたって開催された。
コンクールといっても、誰でもエントリーOKの、全国各地で行われる予選。

進行スケジュールの関係で、一人ずつ二日に分かれてしまった。
力を連れていくわけにはいかないので、力の留守番のことを考えると、
二日に分かれても、力の一日の留守番時間が短いほうがよりベターなので、よかった。

力は先週の血だらけけいれんエピソードから、安静を心がけている。
週末は確かに、もう一声、というところだったが、週明けからはすっかり元気。
でも、このおねえたちのコンクール留守番のために、用心して週明けは通園せず家で安静。

週明けからはかなり元気。というか、絶好調に近い。
夫は仕事で帰宅できずだったので、力不調なら、私は行くことができないだろうと覚悟していたが、
前日のテンション高い元気良さといったら!
オレ大丈夫だぜ、と、言ってくれているかのようだ。

留守番短いといっても、いつもよりはロング留守番だ。
ヘルパーさんと看護師さんのダブルヘッダーで、時間はなんとかクリアできそうだが、
タイムスケジュールが押したり、なにかあったら、と思うと、心配で仕方なかった。
初日は下のおねえR、2日目がNだ。


Rは、何につけても、なかなかエンジンがかからず、なのだが、
今回のコンクールに関しても、相変わらず、なかなか取り組もうとせず、
取り組まないので上達せず、という、いかにもなループにはまりこんでいた。
まあ、放っておこう、困るのは彼女だ、としらんぷりしていたが、
あまりにも出来上がらないので、夏休みに入ってからは、「ほら、練習!」
とやや口うるさく言ってしまった。といっても、そうは変わらず8月に入ってしまった。

上のおねえNは、もともと真面目で練習好き。
時間の空きを見つけては、短時間でも練習していたが、
こんな人間によくあるパターンの、
はまり込みすぎて客観的になれず、非効率的になりがち、というループに入っていた。
なかなか一皮むけずに、8月に入ってしまった。

8月に入ると、夫の夏休み帰宅やなんやらで、ピアノからはやや遠ざかった感があり、
これでまとめられるのか、と思いきや、
ラスト1週間で、それなりにまとめられた。これも、先生のおかげである。

お世話になっているピアノの先生は、私のこどもの頃に習った先生だ。
小学校低学年から習っていた私は、長く習ったにもかかわらず、ちっともうまくならなかったのは、
当初通っていた音楽教室の教師が大嫌いだったからというのがでかい(と思う)。
教師嫌いだからピアノも嫌いになり、練習せずに行ってまた大目玉を食らう、という悪循環。
泣きながら通った空白の時代を経て、先生のところに習いに行ってようやくピアノが楽しくなった。
という時にはもう部活に一生懸命なまっ黒日焼け女子。すぐにやめて、もったいないことをしたのだ。

ピアノの楽しさを私に教えてくれた先生は、
今は娘たちを、自由度高く、楽しく、しっかり教えてくれている。
まだRは1年目、Nは3年目だが、既に、私が当時到達したレベルが目に見えている。
全く、私も最初から先生に習っていたら、と思わずにはいられない。
今では力のことがあるうちの事情を理解してくれて、レッスン時間の都合をつけてくれたり、
ありがたい限りである。


さて、初日のRは、順番も早く、さっさと終わってしまった。
彼女の今までで一番の出来だったが、本人も満足で自信満々で待つ結果発表は不本意なもの。
すっかりどんよりとくらーくなって、家では癇癪回しオンパレードであった。

二日目のNは、初日Rの様子を見てすっかり緊張度が増し、当日朝食が喉を通らないほどだった。
演奏順の関係で、楽屋で長時間待つことになり、もうわけわからん、という状態だったが、
彼女もうまいこと弾けて、結果、無事に目標のトロフィーをもらうことができた。

それぞれだったが、とりあえず、二人とも本戦への出場権を獲得した。
うちの娘たちくらいでも本戦に行けるので、本戦レベルはそれ相応なのだろうが、
それでも、トップの金賞を取る子らは、おおおおー、と上手な演奏をする子どもたち。
将来のピアニスト候補だ。だから、彼女ら、よくやったと思う。

それにしても、いい結果が出たもんだ。
私は夫と話して、この結果の絶妙さにうなったものだ。

Rは、多分、なんでも、やれば結構やれるやつだ。
それがなんとなくわかっていて、だから、努力しない。
努力しても自分はこんなもんだ、とわかるのが、怖いから。
今回も、ラスト1週間でずんずんまとめてきたR。
本番でも本人的にはベストの演奏をしていたので、このまま賞を獲ってしまうのでは、
と思い、母的には複雑な気分だった。そこで、本戦ぎりぎりラインの評価を受けた。

Nは、地道な努力が報われればいいがなあ、とは思っていたが、
努力しても失敗することもあれば、超えられない壁はあることを理解する結果もありだろう、
でもダメだったら号泣するだろうから、どう慰めよう?と思っていたら、
結果、Rより上の賞とトロフィーをもらった。

つまり、ぜひ賞を!とか、結果を出して!と、全然思っていなかった母だ。
コンクールに向けての二人をずっと見ていて、それぞれのこの結果。絶妙さにありがとう!だ。

Rの癇癪回しはいつも以上に波があり激しく確信犯的だったが、
私は相変わらず知らんぷりして放っておいた。すると、一晩寝て翌日には持ち直していた。
Nがトロフィーをもらったとしたら、悔しがるかもなあ、大丈夫かな?喧嘩にならんかな?
とNともども心配していたが、からっとしたもんで、Nおめでとう!とにこにこ祝福していた。
こんなところがRの「お友達作り名人」たるゆえんだ。
Nも、観に来てくれたじいさんが、トロフィーのことをほめようとするのを制して、
Rが気にするけん言わんで!と、こそこそ言っていた。それぞれのいいところ、だ。


それにしても、ピアノコンクールのようなイベントに、
わが子が出場する機会を得るとは、思っていなかった。
セレブぽい保護者の方々が半分くらいは居た場に、場違いな感じだった母も、いい経験をした。
力のことを考えると、出場できる機会を持てるだけでありがたいことだ。
たくさんの人の助けの上に立っている。
力も、二日間、何事もなく、元気に留守番してくれていたのは、ホントに偉い!
NもRも、そのことはわかっていて、
「このトロフィーは、三人でもらったってことやね!」と、帰ってすぐに力に見せていた。
力もうれしそうにしていた。


上記のような経歴を持つ母なので、大したことは言えないが、
音楽は、きっとキミらの人生を豊かにする。
歌ったり演奏できると、ただ聴くだけよりも、ずっと楽しい。
それに、何かに向かって努力して、ドキドキしたり悔しい場面に出会うことも、とても大事なことだ。
キミらも、それが大事だと思える人間に成長してくれれば、と思う。


2日間、力のことを心配しながら、娘たちのコンクール。終わってすっかり疲れてしまった。
慣れぬことをしたことと、なんだか、たくさんの人にあたってしまった感じ。
帰宅後、疲労困憊でこりゃやばい、と思ったが、またもや復活して、ルーティンをこなせた。
やっぱり鬼母モードである。よかったよかった。


しかし、親バカと言われてもNとRのコンクールでの演奏は、
私にとっては最高の、金賞ものだったことは間違いない。聴き慣れているからだろうが、大好きな音。

本戦も、悩みつつ、精一杯がんばれ!