みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

土俵に上がれるか

木曜午後から耳鼻科の定期カニューレ交換と、
小児神経科

気管切開に関しては、
前回巨大肉芽を切除した後も調子よく、
気管内も殆ど問題なし。優秀です。

耳鼻科医から、学会資料のために、
力の顔写真を撮らせてもらえないか、と打診があり承諾した。

耳鼻咽喉科の一般開業医の多くは、
力みたいな珍しい症例を、一生診ることは無い可能性大。
いわゆる一般的な耳鼻咽喉科の病気を診断できれば、開業医として成り立つとは思うが、
もし、こんな稀な症例の患者が来たとき、
適切な処置やアドバイスができるか、というと、
疑問だという。
確かに、そうだろうな。

最近の医療の進歩によって、
一昔前は命を助けることができなかった人たちや、
早産や低体重で生まれたり、病気があったり、染色体異常などの先天性の要因がある子達も、
ちゃんと命が助かり、
ちゃんと成長していけるようになっている。
一般の診療所でまずは受診するということが、
これからもどんどん増えていくってこと。

今かかっている専門の病院などの大きな施設での、
様々な患者たちの症例を広く知らせ、
たくさんの医師やその他関わる人たちに、
知識と、意識を持ってもらうことはとても重要だと、
話を聞いて、思った。
力が役立つなら、それは意味があると思う。
力、もう新聞でかなり広く知られていることだし。

耳鼻科の後は神経科
神経科の受診は、障害者手帳の申請ができるかの相談だ。

かなり早い時期から、
医師他、ケースワーカーさんなどにも、
福祉制度のことをいろいろと相談していたのだが、
力の年齢の低さではまだ確定できない、
と、延び延びになっていた。

今日診察してくれた医師は、
力をゆっくり診て、
私も面談を受けながらお話をしていたが、
ふと気づくと、もう、意見書(申請に必要な重要書類)を書いていた。

「あのー、申請はできそうでしょうか?」
「そうですね、申請に問題は無いと思いますよ。成長は、明らかに遅れているから。」
「何級?とかになるんですか?」
「1級でいけると思います。いろいろあるもんねえ、書ききれないほどですね。
お母さんたち、大変だったでしょう、ホント、頑張られたですね。」
「実は夫が先週から単身赴任して、お姉ちゃん達も二人いるので、
ショートステイなどのサービスを受けたいと思っているんですが、
手帳がないとどうしよもなくて。」
「それは大変!いち早く申請しないといけませんね。」

急いで書いてくれた。


意見書:診断書は認定医しか書けない。
この書類を持って行政機関へ自分で申請しなければならない。
今まで、取れるかどうかわからん、と言われ続けていたが、
ここにきて診断は、うーん、と考えることも無く、1級相当で申請できることになった。

手帳があると無いとでは、
何もかも、違う。
何も無いと、言ってみれば、
「土俵にも上がれてない」状況。
力に必要なものを揃えようとも、購入もできないのだ。
(まあ、お金を積んで買えばいいのだろうが。)
福祉サービスも、受けられるものがものすごく限られている。
早く申請せねばもうどうしようもないぞ、と、思っていたので、
書いてもらって、何となくほっとした。

と同時に、意見書:診断書を改めて見ると、ちょっと落ち込んだ。
まだ手帳交付されたわけではないが、
手帳もらうってことは、「障害」確定ということ。(数年毎に再認定があるが)
それも、一級。
「重症児」という文言が書かれていた。


ブログにも新聞連載にも「チャレンジド」という言葉について書いたが、
日本語の「障害」って言葉は、改めて、
もっと気の利いた言葉にかえて欲しいよなあ、と思った。
当地では、ちょっとでもその感じを薄めようと、
「障がい」と表記しているが、それも、ほんのちょっとした抵抗でしかない。

病院に付き添いしてくれたじいさんは、
まあ、よかたい、これから揃えるもんに困らんけん。
よかったたい、どんどん買ってやれ、
とか言っていたが、
親としては、よかった、って言われても、と、
かなりびみょーだったのが実のところ。


と言っても、現実は現実だ。
福祉サービスを受けられる土俵に上がれそうだ、ということを、
一歩前進、よし、としよう。
早速明日、申請だ。


あ、そうそう、一年前の今日は、四度目の手術をした日。
1年、もうそんなに経つのか、とか、
ずっと遠い昔のように感じるなあ、と、どっちも。

何か、いろんな節目の日は、
いつも関わりあっている感じがするなあ~。