みんなのチカラに~ぼくが力になれること

産まれてすぐに救急搬送されたチカラは、 5万人に1人とされるトリーチャーコリンズ症候群と診断された。 箇条書きでも1枚に収まらないほどの手術や入院を繰り返した2005年からの10年。 これからどんなことが待ち受けているのか。 もう、チカラも家族もどんとこいの力が備わりつつある。はず。

ちょうど良い福祉車両を見つけたい!(下)~ちょうどいい!がちょうど良かった編

ちょうどいい!がちょうど良かった編

1.ホンダ/フリードプラス

試乗車待ち

フリードの3列シート6名乗りに対し、

フリードプラスは3列目部分を広い荷室に替え定員5名。

その荷室部分を車いすスペースしたのが車いす仕様車だ。

買い替え検討し始めた時点で選外だったが、

ここにきて一転候補車に。 

試乗車は当地エリアに希少で、

遠方から取り寄せてもらった。

 

乗ってみた

試乗車がきた。まずはバギーが乗るかどうか。

ホンダ車の特徴なのか開口高が低めで、

出入り時はリクライニングを倒し、

標準の定位置よりも奥に乗り入れて、

車内で固定する際に少しバギーを立てて収まる。

室内高はやや低めもOK。

車いす仕様車は普通車と定員が異なる。

最後方に車いす、通常座席に5名で定員6名。

でもバギーだと後方に乗り込めても、

ほかの人も含め乗車にはかなり無理がある。

 

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バギーは後部座席そのままでも収まるが後列とバギーの足元スペースがほぼ無くなる。

後部座席を倒して後ろ半分をバギースペースにして、

普段は3名乗車が現実的だ。息子と私2名乗りには充分。

運転席からバギーに手は届かないが、

後方は低床になっているため、

1人だけ高い位置に座っている感じはない。

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後方半分がバギースペース(写真は購入後の乗車状態)

この乗り方なら最初の候補車タントと同様だし、

乗り方次第でいつでも家族人数分は乗車可能だ。

 

推し色を見ずに決められるか

ほかに選択肢が無くなったところに、

条件に合う、または許容できる車が待っていた。

候補に返り咲いたきっかけの外装色(オレンジ)だが、

ラインナップに入ったばかりのオプション色で、

事前に確認すること叶わず。

他車で同カラーの設定があるが、同じく展示車など近場に無し。

肝心の色を見ずに決められるか。

息子にとっては数少ない移動手段の一つである車を、

遠くからでも、あ!と気づいてくれればいいな、

という観点から外装色を選んできた。

迷ったが、決める方向で商談を進めた。

 

年内ぎりぎりに契約

これで決まりだろう、という段階で、

色以外の細かな点の確認で、 

たまりたまった不満が爆発した(家で)。

時間も労力もかかった特別な新しい車選び。

大いに勉強になったが、ストレスも多々。

なんとかおさめて後日、

契約のためにディーラーを訪れた際、

店の前の道を同カラーの車がひゅーんと通り過ぎた。

オールクリア。

年内に間に合った。ホッとした。

 

納期まで3カ月以上

年内契約も、車いす仕様のため納期がかかるとのこと。

さらに新型感染症の影響で港が動かず、

納車は4月頭にずれ込んだが無事に手元に。

柿みたいな色やねえ、と、

娘が「かき坊」と名付けた。

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「かき坊」名前ともども皆気に入った。

 

2.福祉車両購入に際して考えたこと

標準の車いすサイズ問題

車いす仕様車の車いすの想定は、

いわゆる一般的な車いすで、

息子が使うバギーは少数派でイレギュラー扱いだ。

開口高、室内高、車いす前後スペース長は、

ミニバン以下サイズの車では実車で確認必須だった。

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車いすのように背をほぼ垂直にしてこんな感じ。息子はこの形で使うことはない。

また、例えば車いす収納機能付きの車でも、

バギーはサイズ超過で積めない車がほとんど。

最近街中で見られるようになった車いす乗車可能タクシーも、

バギーは乗れない。

乗車できないなら、大きいサイズの車を選ぶしかないのだが。

 

消費税非課税問題

福祉車両に分類されている車は、

購入時の消費税が非課税。知る人ぞ知ることかもしれない。

障害者手帳などの提示も不要。

大きな買い物の非課税はとても助かるが、

非課税でいいね、と言われると、

得しているわけじゃないのに、と思う。

普通車と同タイプの車いす仕様車なら、

もともと消費税分くらいは価格差があるからだ。

あるディーラーでの値交渉で、

福祉車両は利益が出ないので大きな値引きはできない、

消費税もかからないしね、

とはっきり言われたこともある。(腹が立った)

 

スロープの長さ問題

車いす仕様車は、

特に駐車場でスロープ取り扱いで困ることが多い。

障害者用の駐車場は多くなったが、

左右または片側のスペースはあっても、

後方スペースを確保されていないケースが多い。

スロープ短縮のため、

サスペンション調節機能を採り入れているディーラもあるが、

故障やトラブルがあると乗降不可になる可能性がある。

調節機能を採り入れなければ、

スロープ長はある程度確保せざるを得ない。

障害者用駐車場のスペース拡充は、

現実的にはさまざまな面から難しいだろう。

後方スペースが無い普通車用駐車場だと、

バック駐車ができず、

乗降時はスロープを車路側に引き出すことになる。

あからさまに迷惑顔の人もいるので、

乗降タイミングにとても気を遣う。

あ、スロープね、と知ってくれている人が増えると、

ありがたいなあと思う。

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息子のかかりつけの病院の駐車場もちょっと惜しい(後方の柱)


3.乗ってみて

操作を何度も練習する

息子乗車前に、車いす乗降操作の完全習得が必須。

さっと乗せたいが、乗降や固定には安全を期さねばならない。

広い駐車場で何度か練習した。

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手順を覚えたつもりでも最初はすんなりいかず
カーシートとフレキシブルに併用

息子をできるだけ近くに乗せたい、という希望は、

購入後に良い形で運用できた。

乗降楽なスライドドアの後列左側にカーシートを常設。

助手席を前寄せし、息子の座席を最前に移動させれば手が届く。

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ドア開閉位置の関係で乗降後に前寄りに移動させている

なお、その際、空いている後列右側座席を倒せば、

バギーは折りたたまずにスロープで後方から積める。

格段に便利になった。

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カーシート乗車時は横の窓から外をよく見ている息子

カーシートにしたりバギー乗車したりと、

その都度自由に変えられるのは、息子ともども楽しい。

 

家族旅行では大容量荷室になり便利

家族旅行の際は5名フル乗車。

息子は後列カーシートで娘たちと並べて終始楽しそうだった。

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大柄の3人ならきついかもしれないが、娘2人とカーシート息子なら問題なし

後方は大容量荷室状態で、

たたんだバギー含め、ほかの荷物もどんどん積める。

重い荷物はスロープを使って搬入可。

なお、乗員5名とバギーと大荷物で車体は普段より安定した。

 

 

4.ちょうどいい!がちょうど良かった

フリードのディーラーコンセプトが「ちょうどいい!」。

後付けだが、まさに我が家にとって便利でちょうど良い車だった。

障害や高齢などで歩行や移動などが難しくなってきた人、

近い将来にそのような可能性が考えられる人や家庭において、

福祉車両は気軽に検討していいと思う。

当人にも、お手伝いする人にとっても、

車で出かけることがおっくうでなくなること請け合いだ。

我が家は買い替えて大正解。腰は今のところ安泰!

 

(上)~買い替え決定までのいろいろ編 は↓↓↓

chikarahaha.hatenablog.com

 (中)~あちらを立てればこちらが立たぬ編 は↓↓↓

chikarahaha.hatenablog.com